財産の管理を、アプリ上で行うことができることが特徴で、ほかに例がない全く新しいサービスです。

この記事では、おやとこを実際にご利用になったお客様・斎藤様一家(仮名)の事例を、実際にサポートを担当した家族信託コンサルタント・森賢治の話を通してご紹介しましょう。

ご相談のきっかけは「相続手続き」

最初のご相談のきっかけはどのようなものでしたか?

森: 斎藤様は、以前より当グループに相続手続きをご依頼いただいているお客様でした。

相続手続きのご相談を頂く中で、伯母様とお母様の認知症の問題にも悩まれていらっしゃるということを伺い、家族信託についてのご相談も承るようになりました。

斎藤様は、当社にご相談を頂く前に、別の弁護士さんにもご相談された経緯がおありだったのですが、「別の専門家の意見も聞きたい」と思われていらっしゃいました。

お客様はどういうことを心配されていらっしゃいましたか?

森: 斎藤様は、伯母様の財産の管理方法について、心配されていました。

斎藤様には身近なご親族として、お母様と、そのお姉さま(斎藤様から見て伯母様)がいらっしゃいました。

お二人とも、高齢でいらしたので、今後の介護費用や、生活費などの資金をどのように捻出すればよいのかという点について、かなり心配されていらっしゃいました。

斎藤様のご家庭には、どんな問題があったのでしょうか?

森: 斎藤様のご家庭には、伯母様が、親御様から相続した不動産がありました。

伯母様が相続したため、不動産の名義は伯母様名義としていました。

斎藤様一家の中では、斎藤様のお母様と伯母様の介護費用をこの不動産を売却した資金から捻出しようという計画がされていました。

そんな最中、不動産の名義人である伯母様が、高齢になり、認知症の初期症状が出始めてしまったのです。

伯母様は、いつ意思表示ができなくなってもおかしくない状況になってしまいました。

不動産の買主が見つかり、売買契約を締結するに至るまでには、しばらく時間がかかりそうだったため、それまでの間に伯母様が、意思表示できない状況になってしまったら、不動産が売れずに、介護資金が捻出できなくなってしまうという問題がありました。

最悪の場合、現役世代である斎藤様が介護費用を全額立て替える必要が生じる可能性もありました。

問題の解決に向けて

その問題はどのように解決しましたか?

森: 家族信託を使って、不動産の名義を伯母様から、斎藤様に変更しました。

財産を預ける人(委託者)を伯母様、財産を預かる人(受託者)を斎藤様、財産から生じる利益を受け取る人(受益者)を伯母様として、信託契約を作成しました。

家族信託を使えば、生前贈与と異なり、贈与税や不動産取得税などの高額な税金を支払わずに不動産の名義を斎藤様に変更することができます。

名義を変更した後は、不動産の売却権限が斎藤様に移りますので、不動産の売却手続きは斎藤様が一人で行うことができます。

実際に、家族信託を使って不動産を売却する場合、どのような手続きが必要なのですか?

森: 家族信託で預かった不動産を受託者の方が売却する場合は、売買契約書や売買代金の領収書、名義変更手続きに必要な司法書士への委任状など、手続きに必要な書面はすべて受託者(斎藤様)の署名と押印によって作成します。

特殊な信託契約を作成しない限り、不動産の売却手続きに委託者(伯母様)の関与は一切必要ありません。

そのため、不動産の売却手続きを行う際に、伯母様が認知症になり、意思表示ができなくなっていたとしても、滞りなく手続きが進められるのです。

売却した際に受け取る売買代金は、受託者(斎藤様)が家族信託専用の銀行口座に入金して管理をします。

受託者である斎藤様の個人の財産と管理を別にするため、信託専用の口座を作って管理をするのです。

この売買代金を使って、伯母様とお母様の介護費用を捻出することができます。

お客様は、ご相談の際、どのようにおっしゃっていましたか?

森: 当社にご相談を頂く前に相談した弁護士からは、「成年後見制度」を利用するように勧められたそうです。

しかし、斎藤様がご自身で調べられた結果、成年後見制度には、費用面や財産管理の柔軟性の側面から、デメリットが多いことがわかり、あまり使いたくない制度だと思われたとのことです。

「他に何か方法はないのか?」
と調べられていた際に、別件の相続手続きを当グループが担当していたため、伯母様の件のご事情を当グループでもお伺いする形となりました。

そこで、家族信託のご提案をさせていただきました。

最初のご相談の際に、成年後見制度を利用する必要はないことと、伯母様の不動産を介護費用に充てられることをしっかりとご説明させていただいたので、「安心しました。」というお声を頂きました。

また、最後には、「コンサルタントの森さんが親身になって対応してくださり、なんでも相談できて心から感謝します」というありがたいお言葉も頂戴出来ました。

より良い形で提案するために

ご案内を進める中で、どんなことに気を付けましたか?

森: 伯母様には、お子様はいらっしゃいませんでしたが、将来相続人になる予定の人が何人かいらっしゃいました。

斎藤様からみて、従妹に当たる方々でしたが、この方々のご納得が無ければ、後々トラブルになってしまいます。

家族信託を利用したとしても、財産の管理方法について親族間で情報の共有がされておらず、不透明な財産管理がなされてしまっていれば、相続時に親族間でトラブルになる可能性があるわけです。

このようなことが無いように、家族信託による財産管理の状況を、親族皆さんで確認できるような仕組みである「おやとこをご提案しました。

おやとことは、信託したお⾦や資産をアプリで簡単に管理することができる国内初の家族信託用財産管理サービスです。

データ連携による銀行口座等の情報の自動取得と、家族信託の専門家によるサポートにより、家族信託の運用の手間を大幅に省き、かつ家族の財産を安全に管理することができます。

おやとこを使えば、伯母様の財産の管理状況について、おやとこのアカウントの発行を受けた方全員で確認することができますので、相続発生時にトラブルになる可能性を下げることができます。

そのほかに、どのようなご提案をしましたか?

森: 伯母様が亡くなった時に、遺された財産の承継先も、家族信託を利用して決定しました。

家族信託には、財産を信託した人が亡くなった場合、その財産を誰に承継させるのかを決める機能を持たせることができます。

つまり、家族信託を利用すれば、遺言と同様の効果を得ることができると言えます。

今回は、伯母様が亡くなった時に遺された財産は、すべて斎藤様が受け取るということで、皆様合意されていらっしゃったため、そのような内容の家族信託契約を作成しました。

森さんは、このおやとこをどのような方にご提案したいですか?

森: 今回のご相談者である斎藤様のように、高齢である家族の介護費用や、相続の問題に悩まれている方にご提案したいです。

当社のおやとこは、家族信託を組成した後の財産管理の状況を、アプリを使って行えるところに特徴があります。

預金の入出金に関する情報を、スマートフォン等から入力していただければ、すべての入出金情報が一元管理され、アカウントの発行を受けた方ならどなたでも確認することができる仕組みが導入されています。

財産の管理状況を逐一親族に共有する作業は、かなりの労力を費やしますが、この負担をテクノロジーの力を使って大幅に減らすことに成功したのがおやとこのサービスです。

家族の財産管理について、親族と情報を共有しながら進めていけば、将来発生するかもしれない相続トラブルも未然に防ぐことができます。