金銭の家族信託について、以下のようなご相談がよく寄せられます。

「信託したお金はどう管理していくの?」
「信託したお金はそもそも誰のもの?」

不動産であれば、明確に所有権移転と信託の登記が行われますが、預貯金についてはどのように管理していくべきなのでしょうか。

本記事では、金銭の家族信託における具体的な財産管理の方法、受託者の義務などを詳しく解説していきます。

家族信託の仕組みを詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ仕組みです。本記事では家族信託の詳細や具体的なメリット・デメリット、発生する費用などについて詳しく解説します。将来認知症を発症しても、親子ともに安心できる未来を実現しましょう。
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信託した金銭は誰のものになる?

家族信託は、委託者(主に親)が受託者(主に子)を信頼して財産管理を託す制度です。

家族信託では一般的に、委託者=受益者と設定します。よって、財産を信託した後も、委託者は信託財産からの利益を引き続き得られることになります。

家族信託の受託者の役割についておさえるべきポイントは以下です。

  • 預かった信託財産を委託者のために管理する
  • 受託者は信託契約に沿って管理・運用・処分を任されているのみ
  • 財産から得られる利益は受益者=委託者のもの

受託者は、信託契約の中で定めた目的や方法に沿って金銭を管理する必要があります。

信託契約内で定められていない形で、受託者が勝手な判断で信託金銭を使うことは認められません。

信託された金銭の管理に関するルールは法律で定められていますので、解説していきます。

信託した金銭の管理方法

受託者は、委託者から託された財産と、元々保有する自身の財産(固有財産)とを明確に分けて管理することが必要となります(分別管理義務・信託法第34条)。

受託者に分別管理義務が課される理由は、主に以下の2つです。

  • 信託財産の特定
  • 忠実義務違反防止

1.信託財産の特定

信託法では、信託財産の保全のため、受託者固有の債務の債権者等により強制執行がなされることを制限しています。

万が一信託財産が受託者固有の債務の債権者から差押え等の強制執行を受けた場合には、受託者は、信託財産であることをもって当該債権者に対して異議を主張することができます。(信託法第23条第1項、第5項)

そして差押え等の強制執行を受けた際、受託者は当該債権者に対して、強制執行された財産が信託財産であることを証明する必要があります。

委託者から託された財産と、元々保有する自身の財産(固有財産)とを明確に分けて管理されていることつまり、「分別管理義務」が尽くされていることで、その証明が容易になります。

2.忠実義務違反防止

受託者には、信託法第30条により「受益者のために忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない」 という「忠実義務」が課されています。

信託財産が、外形上又は記録上、受託者の固有財産と明確に分別されることで、受託者が忠実義務違反行為を起こそうとした際の心理的な抑制効果が期待できます。

受託者のてん補責任

受託者が分別管理義務に違反して、信託財産に属する財産と受託者の固有財産を分別していない状況で信託財産に損失が生じた場合、受託者は、その損失をてん補する責任を負うことになります(信託法第40条第1項第1号)。

信託財産を分別管理する方法

これらの各規定から、受託者は、委託者から託された財産と、元々保有する自身の財産(固有財産)とを明確に分けて管理することが要請されています。

実務上は、新たに受託者の名義で信託用の口座を開設するなどの方法で管理することが一般的です。

  1. 預貯金:信託専用の口座(信託口口座)を作成
  2. 不動産:「所有権移転及び信託」の登記
  3. 自社株:株式が信託財産に属する旨を株主名簿に記載する

このような個別管理が必要となります。

信託における受託者の義務

受託者は年に1度、収支状況を受益者に報告する義務があり、財産の管理や処分に関する資料を保管しておく必要があります。

  1. 貸借対照表や損益計算書
  2. 信託財産の処分に係る契約書等
  3. 信託帳簿の作成

作成した 『1.貸借対照表や損益計算書』 は信託が終了し、清算が完了するまで保管しておく義務があります。

また 『2.信託財産の処分に係る契約書等』『3.信託帳簿』 は法律上、10年間の保管義務が課されています。

家族間での契約とはいえ、正しい書類を作成し、確実に保管をするようにしましょうという主旨です。

家族信託にまつわる作成書類については下記記事でも解説しています。

家族信託を利用した場合、税務署に届け出るケースがある手続きについてご存知でしょうか。この記事では、どのような場合に税務署への届出が必要なのか、どの税務署に届け出るのか、届出すべき書類の書き方などについてくわしく解説します。
家族信託で税務署に提出する書類、計算書と受益者別調書の書き方を解説!

まとめ

預貯金については不動産のように信託登記を行う訳ではないため、受託者個人の財産と混在するリスクがあります。

信頼のおける家族間とはいえ、お金の管理についてはトラブルの種にもなりますから、通帳を分けるなど、管理する口座を分けて正確に管理を行っていくようにしましょう。

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