家族信託が自分の家族に有益だと分かっても、親にどうやって話を切り出せばよいか分からない…。
結構頑固な親だから、財産のことは話しづらい…。

家族信託という将来の財産管理方法を見つけたとしても、実際に親の財産について親と話し合いをするのはなかなかハードルが高いということもあるのではないでしょうか。

本記事では、少しでも親と家族信託の話をしやすくなるようなコミュニケーションの取り方や、老後資金についての考え方についてご紹介します。

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【1】理解を得るための話し方

親に対して、急に認知症の話をしても、「俺は絶対に認知症にならない」「勝手に認知症扱いしないでほしい」など、消極的な反応をされてしまうこともあるかもしれません。

そこで、まずは知人の話として話をしてみてはいかがでしょうか。

「まだまだ大丈夫と言っていた知人が認知症になって進行し、預金が凍結されてしまったらしいよ…」とか、「成年後見制度の利用手続きで大変だった人がいるらしい」などの話です。

ここでは、「認知症になると預金が凍結?」「成年後見制度?」等、少しでも認知症リスクに関する興味を持ってもらうことを目標とします。

家族信託の話をする前に、情報を知ってもらう方法です。

親に危機感や当事者意識を持ってもらえれば、話を持ちかけやすくなります。親と「一緒に」将来の財産管理のことを考えることが、まずは重要です。

【2】親本人のためという前提を明確に

家族信託は、親の財産を凍結させずに、施設費用や介護費用を親の財産から支払っていけるので、子がそれらの費用を負担することなく、あるいは軽減することができるので、結果として子世代にとって有益となるケースが多いです。

しかし、「困るのは家族なんだから」というスタンスで話をしてしまうと、話が前に進まなくなってしまうかもしれません。

家族信託は、親世代が認知症等になってしまったとしてもとくに資金面で困らないようにすることが目的の1つです。

「万が一のことがあっても、無事に暮らしていってほしい」という気持ちを率直に親に伝えていくことで、将来に向けて、前向きに話合いをする準備ができるようになることでしょう。

ツールとしての「エンディングノート」

エンディングノートとは、生活の中でのさまざまな「もしも」の時に備え、自分の大切な情報をご家族などがわかるように記録しておくノートです。

例えば、病気になった時のかかりつけ医の連絡先や入院した時のペットのお世話の方法、自分が亡くなった後連絡してほしい人やどんな葬儀をあげてほしいか等、ご自身が亡くなった後のことだけでなく、生前の様々な希望を記入していきます。

引き落とし口座やクレジットカードの情報、保険会社の連絡先などを書き込めば、自分のための備忘録にもなります。

「終活」という言葉が一般的なものになっていますが、ある調査によるとエンディングノートを「書いたほうがいい」と認識している人に対し、「エンディングノートを持っている、実際に書いている」という方は3割にも満たないというデータも出ています。

エンディングノートは遺言などとは異なり法的効力を持ちませんが、内容も表現も自由ですし、何度でも書き直すことができます。希望を書き出すことで考えをまとめる手段にもなります。

一方、家族信託・遺言は法的効力をもちますが、書ける内容はあくまでも財産に関することに制限されます。

民法や信託法等に定められた形式を満たす必要はあるものの、家族信託・遺言には法的効力が発生し、書ける内容や形式が決まっています。

手始めにエンディングノートに取り掛かり、そのうち家族信託や遺言などを考えていくなど、段階を追って考えていく方法も良いのではないでしょうか。

また、エンディングノートにも良い点があり、家族信託や遺言にも利便性があります。それぞれの特徴を使い分けるようにしていく方法も良さそうです。

【3】身内に「家族信託」を理解してもらうコツ

家族信託について親族から理解を得るためには、まずは情報共有をすることが重要だといえます。

家族信託の契約の内容はどのようになっているのか。受託者としてどのような役割を負うのか。これらの点について、契約締結前に家族間で認識の共有をしておきましょう。

受託者とならない兄弟も、相続の際などに自分が不利な立場にならないことを認識してもらいましょう。

但し、相続では不利にならないとしても、受託者が有する強い権限を気にする方はいるでしょう。

受託者は、信託契約の内容に従うとはいえ、信託財産について自らの意思で処分をする権限を有するため、財産が減っていくのではという疑念を持たれる可能性があります。

このような場合には、他の兄弟も信託契約の当事者にするような解決策があります。
例として

  • 身内にもしもの際の「第二受託者」として信託契約に入ってもらう
  • 資産管理情報を定期的に報告を受ける「信託監督人」の立場になってもらう
  • 受託者が定期的に親族へ信託財産の状況を報告することを契約書に盛り込む

このような方法が考えられます。

苦情やトラブルの起きやすいケースを想定して、信託契約の中に参加してもらうことで解決につながることもあります。

また、信託契約に参加してもらうことで家族信託の重要性や意義をより深く理解してもらえるようになり、理解を得やすくなるケースもあるでしょう。

【4】家族信託に「停止条件付」を設定する

まず、「停止条件付」という契約方法について説明します。

停止条件付契約とは、「ある一定の条件(停止条件)を満たせばその効力が発生する契約」 のことを言います。

例えば、贈与契約を例にしてみると、「資格試験に合格したら、車を1台あげるよ」といった契約が、停止条件付契約になります。

この場合の停止条件は「資格試験に合格する」です。

所定の条件が成立するまでの間は契約が続き、条件が成立すると同時に効力が発生するこのような契約を停止条件付契約といいます。

この「停止条件」を「家族信託契約」に応用することで導入しやすくなる可能性があります。

依頼者本人が元気なうちは信託契約の効力発生を停止しておいて、「認知症による判断能力の低下」など、いざとなった時にはじめて家族信託の効力が発生する、という契約を設計することができるのです。

この形であれば、早めに家族信託をやっておきたい家族と、自分が元気なうちは家族信託をやりたくない委託者の両方の希望に沿うことができます。

停止条件を付ける際の「条件」とは

停止条件付の家族信託をするときは、注意点があります。それは、停止条件の成就が明確になるような条件にしておく、ということです。

例えば、上記のように「認知症による意思能力の低下」とそのまま契約書に記載してしまった場合には、どの程度意思能力が低下した時なのか判然とせず、当初意図していたタイミングでの効力発生ができなかった、という事態に陥りかねません。

そのため停止条件付の家族信託契約を締結する場合には、その停止条件の定め方を慎重に検討する必要があります。

例えば、

  • 「医師から後見相当または保佐相当であるという診断を受けたとき」
  • 「要介護認定を受けたとき」

等が想定されます。

また、条件の定め方は自由ですので、親子間で合意が取れるのであれば、

  • 「契約から3年を経過した日」
  • 「委託者が書面で家族信託契約の効力を発生させたい旨、受託者に意思表示をしたとき」

といった定め方も可能です。

複数の条件のいずれかが成就した時として、いくつかの条件を定めておくことも可能となるため、家族信託の提案もスムーズに進めることができるでしょう。

停止条件付にする場合の「発動」タイミング

停止条件付で家族信託を契約する方法は、委託者の意向も加えることができるため非常に優れた方法だといえますが、実際に停止条件が発動する段階についてしっかり想定しておく必要があります。

停止条件により家族信託をスタートさせる契約であっても、その契約段階で委託者が意思能力を有している必要があるからです。

例えば、家族信託の対象財産に不動産が含まれている場合、家族信託の効力が発生した際(停止条件が成就した際)に、委託者の意思により、信託した不動産の信託登記の手続きが必要です。

もし停止条件を「委託者の意思能力喪失」としていた場合、家族信託の効力発生時には委託者は意思能力を失っているため登記の手続きができないという問題が発生します。

この場合、委託者に成年後見人をつけて登記手続きをするか、または事前に任意後見契約も締結しておく必要があるでしょう。

ただし任意後見も後見制度の一種のため利用までには時間がかかり、家庭裁判所や任意後見監督人という第三者の介入がある制度です。

家族信託によりシンプルに利用開始するには、停止条件をつける場合、

例)

  • 要支援1の認定を受けたとき
  • 委託者と受託者が、委託者の状況を鑑みて協議の上合意した時

このような早めの段階で利用スタートとなるよう設計する必要があります。家族信託の便利さや仕組みも含めて、委託者の理解を得ることがポイントになるでしょう。

まずはコミュニケーションを

家族信託は、親にとっては、大事な財産を預け、名義も変える手続きですので、急に話を切り出すと、驚かれたり怪しまれてしまう可能性もあります。

まずは、日ごろのコミュニケーションを多くしてみたり、子から親へ一方的に説得するよりも、親と一緒に財産管理等の情報収集をしてみてはいかがでしょうか。

家族会議等を開催して、家族だけではなく、中立的な立場でアドバイスができる、家族信託や生前対策に詳しい専門家を交えてみることで話が進むケースもあります。

家族信託をきっかけとして、結果的に絆が深まる家族が増えることを願っています。

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