高齢になった親のサポート目的などで成年後見制度を利用した場合、親族が後見人に就任すると、毎年、家庭裁判所に収支状況等の報告義務があります。「財産目録」や「収支状況」等の内容です。
では、家族信託を利用した場合、そのような報告義務はあるのでしょうか。
家族信託は信託契約であるため「裁判所」に対する報告義務はありませんが、信託法に基づく書類作成の義務があります。
受託者が作成する義務のある書類の内容について見ていきましょう。
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目次
家族信託の報告義務とは?
家族信託では、成年後見制度のような「裁判所」に対する報告義務はありませんが、財産管理の状況について、まずは書類作成の義務があります。
どのような財産を預かっていて収支状況はどのようになっているのか、書類を作成して財産の管理や処分に関する資料です。
- 財産の管理状況についての書類を作成
- 受益者に対し報告する義務がある
- 書類ごとにそれぞれ保管期間が定められている
これらの内容や管理について見ていきましょう。
【1】信託財産の収支・概況の資料
受託者は、年に1度、「貸借対照表」や「損益計算書」のような、信託財産に関する収支がわかるような資料や、信託財産の概況が分かるような資料を作成しておく義務があります。
- 収益不動産の場合…毎年の確定申告の基礎となるような書類を作成
- 預貯金等の金銭の場合…現金出納帳のようなものを作成し、月々にかかった生活費等を計上して管理
これらの書類は、原則として受益者に対し報告する必要があります。
《保管義務期間》
作成した書類は、信託が終了し、清算が完了するまで保管しておく義務があります。
【2】信託帳簿の作成
上記書類のほか、受託者は「信託帳簿」を作成する必要があります。 信託帳簿は、信託財産を管理する際の日常的な取引を記録しておく帳簿に当たります。
- 日常の生活費にかかる領収書
- 信託財産の通帳など
- その他の記録
受託者は日常的な支出であっても領収書等は捨てずにしっかりと保管しておきましょう。
また、受益者から閲覧を求められた時には、信託帳簿を提示したり、コピーを渡したりする義務があります。
信託資産のうち、預貯金の管理についてはこちらの記事もご参照ください。
→『家族信託をした後に必要な手続きは?登記や口座開設のやり方について』
《保管義務期間》
法律上は10年間の保管義務があります。
【3】信託事務の処理に関する書類
そのほか、信託事務の処理に関する書類が出てくるケースもあります。
- 信託不動産を売却する際に締結する売買契約書
- 建物を建築する際の請負契約書等
これらの重要書類は主に不動産関連で生じる書類です。書類としても非常に重要であるため厳格な管理が必要であり、また、受益者から閲覧を求められた時には提示したり、コピーを渡したりする義務があります。
《保管義務期間》
保管期間は書類取得から10年間です。
まとめ
このように、家族とはいえ財産を預かる以上、書類作成や保管等の義務があります。
家族信託は、成年後見制度とは違い、裁判所等の第三者機関からチェックが入らないという一種の気楽さがありますが、使途不明金が出たり領収証等の不備などを避けなくてはなりません。
受託者が勝手に使っている、受託者のための信託だ、と指摘されないよう、親族内で管理監督の仕組みの構築が必要になるケースもあるでしょう。
信託契約については、委託者の意思判断能力が低下していなければ後から修正を加えることも可能です。
また、とくに不動産にかかわる信託管理など、事務的に対応が難しい場合は経験豊富な家族信託の専門家へぜひご相談ください。
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