「義理の息子には代々受け継いだ財産を渡したくない!何か良い方法はありますか?」
土地や収益物件を所有しているオーナーさんから上記のような悩みを伺うことがあります。
相続のことを考えると不安になる。自分の死後、代々受け継いできたこの土地は一体どうなるのだろうか。
資産の受け継ぎ方やその考え方はそれぞれだと思います。
本記事では、そんな地主さんやオーナーさんの想いをかなえる手段の一つとして、家族信託の仕組みをご紹介し、活用方法について解説いたします。
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目次
家族信託とは
家族信託とは、一般的に資産所有者の高齢化対策として用いられている財産管理の方法の一つです。
例えば家族内で信託契約をすることで、子ども達世代に資産の管理をしてもらい、老後の生活費や所有している不動産の処分を任せる方法になります。
家族信託には、資産の管理・処分から得た利益を自分が受け取る「自益信託」や、特定の子どもが利益を得られ、安定して生活できる仕組みを作る「他益信託」などさまざまな方法があります。
自分たちで自由に仕組みづくりをすることが可能であり、その家族に適した資産管理が可能となるのです。
冒頭のオーナーさんの例でいうと、「後継遺贈型信託」という財産の承継者を指定する仕組みが適しているといえます。この仕組みについてご紹介します。
家族信託の「後継遺贈型信託」とは
家族信託の類型の一つである「後継遺贈型信託」とは、財産の承継者を次世代、次々世代までコントロールする仕組みです。
家族信託では遺言のように死後の資産管理を指定することができます。さらに遺言では不可能である二次相続(さらに次の相続)についても内容の指定が可能なのです。
例えば、ある財産を、ご自身が亡くなったらあとは配偶者に承継し、配偶者が亡くなったらお子様にやお孫様に承継するということを生前に決めることができます。
このように「後継遺贈型信託」は信託資産を、予め指定された人に順次承継されるように規定しておく信託で、「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」とも言います。
信託では誰に承継させるかは特段制限もないため、承継させる人として法定相続人以外の方を設定することも可能です。
その他にも、「妻に相続した後、子どもがいないので、財産を自分の兄弟に渡したい」 などの意向を叶えることもできます。
遺言では自分の財産の譲り先の指定は可能ですが、その次の相続については指定ができません。このような財産承継の形は信託が唯一の手段となっています。
後継遺贈型信託の活用例
後継遺贈型信託は、受益権が承継されていく間ずっと信託が継続しますので、必然的に継続期間が長期間に渡る信託になります。
先ほどの承継者のコントロールのほかに、「信託が継続していく」という特徴に注目した活用方法もあります。
得られる利益の均等配分や資産の集約に着目した活用例についてご紹介します。
[1]収益不動産の管理と収益の分配
年間の収益が数百万、数千万に上るような不動産を保有している場合、相続の際に、共有者を増やしたくないが、収益は各相続人に上手に分割したい、という悩ましい状況も起こりえます。
資産の所有者が複数存在すると管理には合議が必要となり、名義人が増えると開発・処分が難しくなるという問題点があるためです。
資産の規模が大きくなると相続のたびに分割されてしまうというリスクもあります。
この状況を打開するためには、後継遺贈型信託を活用することが最適です。
後継遺贈型信託を活用すれば、管理は特定の受託者に任せながら、受益権としての収益を複数の相続人に分割していくことが可能となるからです。
例えば、年間で1000万の収益が上がる一等ビルを保有しているオーナーの相続人が3人、次の相続でも相続人が3人想定される場合でも、管理は受託者となる人物が引継ぎ、収益は受益権として平等に分割することが可能となるのです。
[2]自社株の集約・管理
中小企業のオーナーの悩みの一つに、自社株が親族間などに分散してしまっている、といったことがあります。
オーナー一族以外の親族に株が分散している場合、オーナー一族以外の株主は、配当目的などで株を保有している可能性が高いため、このような場合にも家族信託を組成してみましょう。
信託契約により株式を信託財産とすることで、議決権の集約を試みることが可能です。
交渉による合意形成が前提にはなりますが、配当目的の株主であれば、信託により株主は今まで通り配当を受け取ることができます。
株式の信託が受けられれば、議決権の行使は受託者が行いますので、議決権の集約につながります。
後継遺贈型信託の注意点
後継遺贈型信託を活用して、各種資産や不動産、自社株の問題を解決する仕組み作りは出来ますが、ただし期間に限りがあるという難点があります。
後継遺贈型信託は、『30年+ 30年』経過後に受益者となった者が、受益者でなくなるとき(通常は相続発生時)までのルールとなっています(信託法第91条)。
つまり信託契約から30年を経過した後は、受益権の新たな承継は一度しか認められないのです。
そのため
自社株式 … 適した時期にオーナー一族や会社が買取る
このような取り組みを挟む必要があります。
後継遺贈型信託を利用する際は途中の取り組みが必要となりますが、長期間にわたる資産計画が可能となる点が非常に優れているといえるでしょう。
まとめ
後継遺贈型信託は様々な課題を解決できる優れたスキームです。仕組みづくりの際に多少複雑な面もありますが、長期にわたる資産承継が可能となります。
この記事をお読みいただき、ご自身でも後継遺贈型信託の活用が必要であると感じられた方は、ぜひ家族信託の経験が豊富な専門家に相談をしてみてください。
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