家族信託契約を締結したものの、一度締結した家族信託契約を「途中でやめたい」「無効を主張したい」というケースもあるでしょう。

例えば以下のようなケースです。

「相続税の観点で契約内容に問題があると税理士から言われた」
「自分の知らない間に他の兄弟が父と家族信託契約を締結していた!無効にしたい!」
「親や家族の考えが変わった」

本記事では、上記のように家族信託の契約を解除したい場合、どのような手続きを進めればよいのか、詳しく解説していきます。

家族信託の仕組みや特徴、メリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ仕組みです。本記事では家族信託の詳細や具体的なメリット・デメリット、発生する費用などについて詳しく解説します。将来認知症を発症しても、親子ともに安心できる未来を実現しましょう。
家族信託とは?メリット・デメリットや手続きをわかりやすく解説!

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「家族信託を途中でやめることはできる?」
「家族信託の無効を主張することはできる?」
家族信託の終了については、信託法に記載されており、手続きを進めるには法的な知識が必要です。

また、これから家族信託を検討される方は、不測の事態も想定し「どのような場合に信託を終了させるか」についても考えておくのがおすすめです。

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*2023年11月期調査(同年10月15日~11月11日実施)に続き2年連続
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構

家族信託契約の終了事由

家族信託には、委託者の死亡など、発生した出来事により自動的に終了するケースや契約内容に該当することで終了するケースがあります。

  • 委託者及び受益者の合意で信託を終了させたとき
  • 委託者が死亡し、死亡により終了する旨の信託契約を組んでいたとき
  • 受益者と受託者とが同一人物となり、受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年以上継続したとき
  • 受託者が欠けた状態となり、新受託者が就任しない状態が一年間継続したとき
  • 信託の終了を命ずる裁判があったとき
  • 信託財産についての破産手続開始の決定があったとき

これらの終了事由は、信託法第163条および第164条第1項にて定められています。

今回は、事情があり「意図的に信託契約を終了させたい」というケースに着目して解説していきます。

1.委託者・受益者の合意による終了

委託者及び受益者は、その合意により、いつでも信託を終了することができます(信託法第164条)。

家族信託においては、委託者と受益者は同一人物であるケースがほとんどで、この場合は1人で決定して終了できるということになります。

信託契約は比較的柔軟に設計できるため、家族の状況に応じて信託の終了に関する定めを定めておくことも可能です。

たとえば、家族信託の実務では「受託者(子)と受益者(主に親)の合意で終了する」とするケースがよくあります。

2.後見人を選任し終了

もし、委託者兼受益者(親)の認知症が進行し、判断能力がなくなった場合は法的行為ができなくなるため、上述の 「合意による終了」もできなくなります

例えば周囲の家族が受託者の行動を不満として解任させたい場合は、委託者の成年後見人の申立てをして、後見人が選任されれば、後見人が本人を代理して合意による終了をすることができるようになります。

後見人は、成年被後見人の代わりに財産管理や身上監護を行う権限を有していますから、財産管理の権限においては、受託者に似た権限を有することになります。

成年後見制度の特徴

後見人は本人の資産の保護を目的として職務を行うため、自由度のある財産管理は難しくなります。

また、一度後見制度を利用開始すると、希望により利用終了することはできず、後見人への報酬の支払いが生じるなどの特徴があります。

後見人制度の利用について検討する前にその特徴についてしっかり把握しておきましょう。

成年後見制度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した人の法的な行為や財産管理のサポートを行う制度です。本記事では具体的な制度の内容や費用はいくらかかるのか、利用する流れ、認知症対策として注目の家族信託との違いをわかりやすく解説します。
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3.裁判所に信託終了の申し立てを行う

信託契約を開始した当時に想定できなかった特別の事情が発生した場合、信託を終了させることが受益者の利益に適合するとされるケースもあります。

このようなケースでは、裁判所の命令によって信託を終了させる方法もあります。

信託を終了させた方が受益者の利益になると判明した時には、委託者、受託者又は受益者が家庭裁判所に申立てることで、裁判所は信託の終了を命ずることができる旨が定められています(信託法第165条第1項)。

特別の事情による信託の終了を命ずる裁判

第百六十五条 信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により、信託を終了することが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合するに至ったことが明らかであるときは、裁判所は、委託者、受託者又は受益者の申立てにより、信託の終了を命ずることができる。

4.契約内容の無効を求める訴訟を提起する

「父は認知症なのに、いつの間にか他の兄弟が信託契約を締結していた」など、信託契約の締結行為が無効である旨を裁判によって明らかにし、信託契約の無効を求めるケースもあります。

これは、信託契約を締結した時点で契約の当事者が意思能力を有しなかったときに行った契約行為を無効とするものです(民法第3条第2項)。

契約が締結された当時、高齢の親が認知症で意思能力を失っていた、財産を信託するつもりはなかった、などの理由で他の親族が無効を主張するケースが考えられます。

信託契約を公正証書で作成していた場合であっても、裁判により信託契約が無効とされる可能性もあります。

公証人が信託契約公正証書を作成する場合は、契約締結の際に委託者の本人確認、意思確認を行いますが、その判断も絶対的ではないということです。

ただし、信託契約の無効を立証する負担は、無効を主張する原告側の負担となりますので簡単ではありません。

また、相続時の遺留分を侵害するような信託契約である場合には、遺留分侵害額請求を受けたり、信託契約自体の無効を主張されたりするケースも考えられます。

いずれのケースでも、訴訟提起には費用も時間もかかるため、慎重な検討が必要です。

身内間のトラブルを避けるためにも、信託契約時に周囲への説明や同意を十分行っておく必要があります。

また、契約内容について、他の親族の権利を侵害しないよう、十分な配慮することが重要です。

まとめ

以上、信託契約を終了させる方法や無効を求める方法について解説してきました。

せっかく締結した信託契約を終了させなくても済むように、きちんとした検討と、他の家族への十分な説明を行った上で、信託契約を締結することが重要です。

もしものトラブルに備えた信託の仕組み作りや信託契約の法的な整合性など、組成する際には充分な検討が必要だといえます。

対応が難しい場合や契約内容の変更を要する事態になった場合については家族信託の専門家へ相談されることをお勧めします。

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