親にはいつまでも元気で長生きをしてもらいたいものですが、いつ何が起こるかわかりません。
入院や介護が必要になったとき、慌ててしまわないように、親がまだ元気なうちにこそ、家族でじっくりと話し合っておく必要があります。
この記事では、親が元気なうちに、やるべきこと、確認しておくべきことについて、わかりやすく解説をしていきます。
要約
- 親が元気なうちに確認しておくべきことは5つ
- 親が元気なうちに最もやっておくべきことは、家族で話し合う機会を作ること
- 家族信託は親が元気なうちにしかできない認知症対策
- 家族信託のメリットや任意後見制度とのちがいを知り、比較をしておく
親御様の老後について
お悩みの方へ
家族信託の「おやとこ」では、無料相談
を受付中です。
親御様の老後について、「何から考えるべき?」 「具体的に何をしたら良い?」 などお気軽にご相談ください。
年間数千件
のご相談に対応中。 サービス満足度96%
の「おやとこ」が真心を込めて丁寧にご対応します。
目次
親が元気なうちに確認しておくべき5つのこと
親が元気なうちに確認しておくべきことは、大きく分けて下記の5つです。
親が元気なうちに確認しておくべき5つのこと
- 現在の健康状態
- 親族や交友関係
- 将来への意向
- 現在の資産状態
- 相続の内容
確認できていない項目がないか、まずはチェックをしてみましょう。
曖昧になっている項目は、早いうちに親へのヒアリングや、家族での話し合いなどをする必要があります。
以下で詳しく解説をしていきます。
1. 現在の健康状態
親の最近の健康状態、かかりつけの病院、かかりつけ医の名前、服薬している薬、アレルギーの有無などを確認しておきましょう。
診察券やおくすり手帳、健康保険証などの保管場所を確認するとともに、現在の状況を把握しておくことをおすすめします。
2. 親族や交友関係
日頃連絡をとっている親族、仲の良い友人、習い事の友人などを聞き、連絡先をまとめてもらいましょう。
可能であれば、隣近所の住人や町内の役員などの情報を聞いておけると安心です。
3. 将来の意向
将来について、親がどんな意向をもっているのかを知っておくことは、とても重要です。
後になって後悔しないためにも、聞いておきたい事項です。
将来の意向の例
- お墓の希望…お墓の場所、お寺との付き合い方
- 葬儀の希望…葬儀の種類や規模、葬儀に呼んで欲しい人の連絡先
- 介護の希望…介護を受けたい場所、介護施設の種類や条件
- 終末期医療に対する希望…終末期の医療に対する希望、終末期に過ごしたい場所
- 実家の整理方法…実家を相続させるのか、売却するのか、賃貸に出すのかなど管理処分方法
4. 現在の資産状態
お金に関しての話題は聞きづらい内容ではありますが、確認しておくべき重要な項目です。
まずは話しやすい話題からヒアリングを進めるようにしましょう。
現在の資産状態
- 老後の生活資金、介護時にかかる資金に対する資産状態
- 所有している不動産や動産、保有している有価証券、口座
- ローンの残債・借入金・貸付金の有無・連帯保証人になっているか
- 生命保険や医療保険の加入有無
5. 相続の内容
誰に何を相続したいのか、遺言は作成してあるのか、相続対策は考えているのか、などを確認しておきましょう。
親が元気なうちにやっておくべきこと
親が元気なうちに最もやっておくべきことは、「家族で話し合う機会を作ること」です。
家族で話し合うべき事項は、大きく分けて下記の4つです。
家族で話し合うべき事項
- 家族の現在の状況を確認する
- 介護の方針を決めておく
- 相続の内容や対策についてまとめておく
- 親が元気なうちにやっておくべき認知症対策について話し合う
家族での話し合いは、一人でも不足すると後にトラブルとなってしまう可能性もあるため、なるべく全員が揃って話し合う機会を作ることが理想的です。
以下で詳しく解説をしていきます。
1. 家族の現在の状況を確認する
まずは各家庭の現在の子育て状況、金銭的状況、仕事の状況などをお互い確認した上で、今後の介護や相続に対する方針や役割分担について検討していきます。
2. 介護の方針を決めておく
在宅介護であるのか、施設に入所するのか、それぞれのケースで必要な費用の捻出方法などを話し合います。
親の希望も考慮しながら、誰がどの程度まで介護に関わることができるのか、役割分担などを具体的に決め、今後の方針を明確にしておきましょう。
3. 相続対象となる財産の内容についてまとめておく
相続人の範囲や持ち分の確認、不動産に関する書類、保険に関する書類、預金口座、有価証券、社会保障関連の書類などの情報をまとめておきましょう。
特に、不動産の登記名義人が誰の名義になっているかを確認する必要があります。
亡くなった方の名義のままの場合、後の相続発生時、手続きが煩雑になるリスクがあるため、速やかに現在の所有者名義への書き換えが必要です。
4. 親が元気なうちにやっておくべき認知症対策について話し合う
親が元気なうちからできる認知症対策について、検討をしてみましょう。
「任意後見制度 」や「家族信託 」は親が元気なうちでないと契約手続きをすることができません。
様々な選択肢の中から、我が家にあった認知症対策をするためにも、早めに検討を始めることをおすすめします。
「任意後見制度」や「家族信託」の検討
「任意後見制度」は、本人の判断能力低下に備え、本人の支援をする任意後見人を事前に決めておく制度 です。
認知症や病気によって、本人の判断能力が低下したときに、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人による支援が始まります。
一方、「家族信託」とは、家族など信頼できる人に自分の財産の管理を任せる契約 のことをいいます。
家族信託については、次の章で詳しく解説します。
どちらも親の判断能力が十分にある状態でないと、基本的には契約を締結することはできません。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、家族でよく話し合って正しく見極めをする必要があります。
親が元気なうちにしておきたい認知症対策「家族信託」
親が元気なうちにしかできない認知症対策が家族信託です。
家族信託は「認知症対策」のひとつとして、近年注目されています。
ここでは、家族信託について前述した任意後見制度とのちがいにも触れながら、わかりやすく解説をします。
家族信託とは?
家族信託とは、親の判断能力が低下する前に家族信託契約を結び、信頼できる人物(家族など)に特定の財産管理を任せる仕組みのことをいいます。
家族信託契約は、「委託者」、「受託者」、「受益者」という三つの役割で構成されています。
家族信託の登場人物
委託者:財産の所有者で、自分の財産の管理や処分を託す人
受託者:財産を託されて、契約の内容に従って財産の管理・運用・処分を行う人
受益者:信託した財産から発生した利益を受け取る人
委託者兼受益者は親、受託者は子となるケースが一般的です。
家族信託の判断基準や始める時期などについては、こちらの記事をご参照ください。
家族信託は認知症発症後でもできる?判断基準や始める時期を徹底解説
家族信託は、認知症になったからといって、すぐにできなくなるというわけではありません。 家族信託に関する理解や、判断能力が確認できれば、認知症発症後でも取り組めるケースがあります。家族信託ができるかどうかの判断基準や認知症の程度について、詳しく解説していきます。家族信託のメリット
家族信託の主なメリットは5つあります。
家族信託の主なメリット
- 認知症を発症した後も親の財産管理や運用をすることが可能
- 家族内で財産管理を行うため、任意後見制度より柔軟な財産管理が可能
- 遺言としての機能も果たす
- 不動産の共有によるリスクを回避できる
- 判断能力が低下する前から家族信託契約を開始することができる
以下で、詳しく解説します。
1. 認知症を発症した後の親の財産管理や運用をすることが可能
通常であれば認知症を発症して、親の判断能力が失われた場合、預金口座からお金を引き出したり、不動産の売却の売却をすることはできません。
親が元気なうちに、家族信託契約をあらかじめ締結しておけば、受託者(家族)に財産の管理権限や運用権限が移転するので、親の判断能力が失われても財産を管理・運用することができます。
2. 家族内で財産管理を行うため、任意後見制度より柔軟な財産管理が可能
任意後見制度では本人の財産を守ることが前提となっており、原則、本人の財産が減る行為は認められていません。
これに対して、家族信託では、家族内の契約によって財産管理を行うため、任意後見制度より柔軟な財産管理をすることが可能となります。
3. 遺言としての機能も果たす
家族信託には、遺言としての機能 が備わっています。
締結する契約書内で、委託者死亡後の信託財産の承継先を定められるためです。
信託財産の承継先を定めておいた場合、委託者の死亡をもって家族信託契約を終了し、信託財産は指定した帰属先(相続人・第三者)へ承継されます。
ただし、家族信託は「信託財産」についての取り決めであるため、信託財産以外の承継先の決定については、別途遺言書の作成が必要です。
4. 不動産の共有によるリスクを回避できる
所有権を共有している不動産がある場合は、家族信託で特定の受託者へ管理権限を集約することで、リスクを回避できます。
「共有不動産」とは、所有権を複数人で共有している不動産のことです。
共有不動産では、所有権を持つ人が1人でも認知症などによって判断能力を欠いてしまうと、売却や建て替え、大規模修繕などができません。
なぜなら、売却や修繕といった共有不動産の変更には、共有者全員の同意が必要であると定められているためです(民法251条)。
一方で、家族信託では不動産の管理権限を受託者が持つため、売却や大規模修繕を含めた不動産の管理・運用 が可能になります。
5. 判断能力が低下する前から家族信託契約を開始することができる
任意後見制度は、任意後見契約を締結した時点では、後見を開始することができません。
本人の判断能力が低下したのち、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行い、任意後見監督人が選任されて初めて任意後見契約の効力が生じます。
一方で、家族信託は、契約締結後すぐに信託を開始することができます。
判断能力低下後、新たな手続きをすることなく、介護施設の費用や生活費を信託された財産から捻出することが可能です。
任意後見制度とは?できること、手続き、成年後見との違いをわかりやすく解説!
任意後見人は、任意後見制度において、判断能力が低下した本人の財産管理や身上監護を行い、本人を守る役割です。特別な資格は不要で、子や兄弟などの家族など、原則誰でもなることができます。任意後見人ができることや、制度の利用における手続きや注意点を詳しく解説していきます。まとめ:まずは家族信託の実績が多い専門家へ相談を
この記事では、親が元気なうちに確認しておくべきこと、家族で話し合う機会を作り話し合っておくべきこと、任意後見制度や家族信託について解説しました。
親が元気なうちにこそ、家族で集まってあらゆる角度からの話し合いが必要です。
親と子が共に安心した将来を迎えるためにも、早めに準備を進められるとよいでしょう。
家族信託をはじめとした生前対策の内容は慎重に検討する必要がありますので、相談をする際には、経験豊富な家族信託の専門家にご相談することをおすすめします。
親御様の老後について
お悩みの方へ
家族信託の「おやとこ」では、無料相談
を受付中です。
親御様の老後について、「何から考えるべき?」 「具体的に何をしたら良い?」 などお気軽にご相談ください。
年間数千件
のご相談に対応中。 サービス満足度96%
の「おやとこ」が真心を込めて丁寧にご対応します。