もし人にお金を貸したまま、貸主さんが認知症などで判断能力をなくしてしまったら、どうなるのでしょうか?

実際に「おやとこ」には、80代の父親をもつ男性から、「貸付金は信託できますか?」というご相談がありました。

本記事ではそのご相談例を用いて、高齢の方が貸付金を抱えている場合に必要な認知症対策や、今から気をつけておくべき注意点について解説していきます。

家族信託の仕組みやメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ仕組みです。本記事では家族信託の詳細や具体的なメリット・デメリット、発生する費用などについて詳しく解説します。将来認知症を発症しても、親子ともに安心できる未来を実現しましょう。
家族信託とは?メリット・デメリットや手続きをわかりやすく解説!

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高齢の親の貸付金回収のために信託を検討した事例

50代の男性からのご相談です。今年80歳を迎える父親が以前、友人の頼みに応じて事業資金として500万円を貸したとのことでした。

貸付金が返ってくる気配がない

その友人はなかなか事業を始めようとせず、お金を返す期限になっても、全く返済する様子がないということでした。

「父親は、だんだん体力が衰えていて、判断能力がいつなくなってもおかしくない。」 ​
「弁護士を立てて、返すよう連絡し続けているのだが、なかなか回収ができないので、訴訟を起こすことも検討している。」

このような状況にあり、ご相談に来られました。

「返済請求」や「弁護士への依頼」にも意思能力が必要

貸主の父は80歳という高齢のためか、友人にお金を返すように請求する事に疲れている様子とのこと。

弁護士を立てて請求することにした後でも、この問題について話すこと自体に嫌気がさしていて、半ば回収を諦めている様子とのことです。

息子である自分が、父親に代わり弁護士に依頼することを検討したところ、弁護士から「お父さん本人からの依頼でないと、相談には乗れない」と言われてしまったそうです。

弁護士に依頼できるのは、あくまで債権を持つ貸主本人であり、息子さんには代わりに依頼する権限はないと言うことです。

父親の判断能力はだんだん落ちてきていて、いつ意思疎通ができなくなってしまってもおかしくないという状況のようでした。

貸付金の回収(債権回収)と認知症対策

父親の代わりに貸付金の回収をするためは、以下の2つの方法が考えられます。

  1. 後見制度を使う方法
  2. 家族信託を使う方法

2つの方法では、お父様が認知症で判断能力をなくしたあとでも、債権回収の話を進めることは可能です。

注意点1.成年後見制度では回収できない可能性がある

後見制度とは、判断能力がなくなった人の代理人である「後見人」の選任を家庭裁判所に申し立てる制度です。

後見人として選任された人は、父親の代理人として債権回収の仕事を行う事ができます。

この方法で注意が必要なのは、必ずしも息子さんが後見人となれるとは限らないと言うことです。

家庭裁判所に後見人として選ばれるのは、全体の約7割が親族以外の司法書士などの専門家で、残り約3割で親族が選ばれています。

今回の相談者である男性(息子さん)が、お父様の後見人の選任を申し立てても、ご自身が後見人となれるかどうかは分からないということになります。

また、司法書士などの専門家が後見人になっても、その人物が積極的に債権回収の仕事をしてくれるかどうかは分かりません。

後見人の職務としては本人の資産保護が目的であるため、回収が困難だという判断により早々に見切りをつけてしまうこともあり得るでしょう。

注意点2.訴訟を目的として家族信託は使えない

委託者である父親の意思能力がある段階であれば、家族信託を契約することができます。息子が受託者になれば、父親から貸付金の権利を預かることが出来そうです。

息子は委託者(父親)に代わって回収することができるのでしょうか。

ここで注意が必要なのが「訴訟を起こす目的だけで家族信託を利用することはできない」ということです。

信託法の中で「訴訟信託(訴訟を起こす目的の信託)」が禁止されていることがその理由です。

ただし、訴訟目的と債権回収目的とでは取扱いが異なります。

家族信託を利用するきっかけが「債権回収」を目的としたものであれば問題にはなりません。

信託契約のきっかけのみ、訴訟を目的としていないと判断できるのであれば、家族信託の契約は可能であり、息子が受託者となって代わりに訴訟を起こすことも可能となります。

まとめ

回収しなければいけない貸付金を放置したまま貸主さんが認知症を発症してしまうと、回収が困難になります。

貸主さんの意思能力があるうちに後見制度や家族信託を使って貸付金の権利を預かり、代わりに回収できるような仕組みを作っておくことが大切だといえるでしょう。

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