世界でも類を見ない速度で高齢化が進行している日本では、認知症患者も増加の一途をたどっています。

認知症を発症すると意思能力が低下し、契約行為等ができなくなるため、様々な場面で「後見人」が必要です。

本記事では、後見人の中でも「法定後見制度」を法定後見人の職務や利用場面などについて詳しく解説していきます。

とはいえ「後見人」という言葉は知っているものの「法定後見人」「任意後見人」など、後見人に関する用語が散見され、詳細やどんな時に何を利用すべきか分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、法定後見人について詳しく解説していきます。

要約

  • 法定後見人とは、法定後見において判断能力が不十分な人の財産等を管理する代理人
  • 法定後見人は家庭裁判所が選任し、第三者の専門家が就任することもある
  • 選任されるとは限らないが、家族が法定後見人の希望をすることは可能
  • 意思能力低下前であれば、任意後見制度・家族信託を利用する方法もある
  • 最適な認知症対策の選択は、司法書士などの専門家に相談を

成年後見制度でお悩みの方へ

専門家のイメージ

成年後見制度では、財産の柔軟な管理ができない、家族が後見人になれない、専門家への報酬が高いなど、さまざまな課題があります。

認知症に完全になる前であれば、任意後見や家族信託など、他の制度を選択することもできます。費用や各制度のデメリットなど、専門家と相談し慎重に決めることをおすすめします。

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法定後見人とは?

「法定後見人」とは法定後見において、判断能力が不十分な人の代わりに財産等を管理する代理人です。

本章では制度の仕組みや、法定後見と任意後見の違いについて解説します。

成年後見制度とは?

成年後見制度とは判断能力が不十分となり、意思決定が難しい人の財産管理や身上監護を後見人等が支援する制度です。

成年後見制度は下図のように「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。

成年後見制度の仕組み

一般的に「後見制度」と聞くと高齢者の支援をイメージされることが多いですが、実際はその限りではありません。

認知症等の疾病によるものだけでなく、精神上の障害を抱えている人なども対象です。

とはいえ、成年後見制度の開始原因で最も多いのは認知症であり、全体の6割を超えています。
参考: 成年後見関係事件の概況-令和4年1月~12月|裁判所

2025年には約5人に1人が認知症になると予測されており、意思能力が低下した人を支援する仕組みとして成年後見制度は不可欠な制度です。

法定後見とは何か?

法定後見とは、すでに正常な判断能力を有しない方のための支援制度です。

家庭裁判所によって後見人が選任され、意思能力が低下した状態の方を法的に支援します。

法定後見における後見人は誰が選任されるかわからず、場合によっては面識のない司法書士や弁護士等の専門職が選ばれる可能性もあります。

後見は原則本人が亡くなるまで続き、専門職が後見人に就任した場合、毎月報酬を支払わなければなりません。

また、後見開始後は通帳や印鑑は後見人のもとで管理されます。

判断能力が低下した高齢者等を悪徳業者から守ることを意識してつくられた制度のため、積極的な財産管理は認められず、本人の生活維持に関するものに限定されます。

法定後見と任意後見の違い

法定後見と任意後見の違い

法定後見と任意後見の大きな違いは以下の2点です。

・ 契約時の意思能力の有無
・ 後見人の選任方法

法定後見はすでに意思能力が低下した状態で申立てをするのに対し、任意後見は本人が十分な意思能力を有するときに、あらかじめ契約をします。

将来、判断能力が不十分になった場合に効力が発動する仕組みです。

また、法定後見では後見人を家庭裁判所が選任しますが、任意後見では後見人を指名可能な点も大きな違いです。

つまり、任意後見であれば親族等を確実に後見人にすることができます。

任意後見は自身の意思能力が低下する前に委任する事項を定めて契約をし、認知症等によって必要性が生じたときに、指名した後見人が本人に代わって財産管理などを行う制度です。

後見人に認められる権限

法定後見で後見人等は、以下の3つの権限が認められています。

・ 代理権:本人の法律行為を代理する権限
・ 同意見:本人の法律行為に同意を与え、効力を確定させる権限
・ 取消権:本人の行った行為を取消せる権限

例えば、後見人等の同意なく判断能力が低下した人が不動産を購入した場合、契約を取消すことが可能です。

判断能力が低下した人が不利益をこうむらないように、後見人には権限が付与されています。

法定後見の種類

法定後見ではひとまとめに「後見人等」と表現されることが多いですが、本人の判断能力に応じて以下の3つが使い分けられます。

・ 後見
・ 保佐
・ 補助

それぞれ順番に解説していきます。

後見

後見人の権限

後見は判断能力低下の程度が重く意思能力が欠けている場合、財産管理や契約等のすべてを後見人が代理で行います。

裁判所が設けた目安によると、後見を必要とするのは「支援を受けても、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない」状態です。
参考: 主治医から成年後見用の診断書を受け取った皆様へ|裁判所

つまり、後見人なしでは契約や法律行為を行うことはできません。

仮に後見人の同意なく本人が不当な契約をしたとしても、取消権を行使して後見人が契約を取消すことが可能です。

しかし、本人が購入した日用品や日常生活に関する行為は取り消せません。

なぜなら、例として水道光熱費の取消を後見人が行えてしまうと、日常生活に必須な契約をしてもらえないなど、本人が不合理な状況に陥る可能性があるからです。

なお、後見を必要とする人は判断能力がなく法律行為ができないため、後見人に同意権は付与されていません。
参考: 裁判手続家事事件Q&A|裁判所

保佐

保佐人の権限

保佐は判断能力が低下し、ひとりで判断することが著しく難しい方に支援を行います。

裁判所が設けた目安によると、保佐を必要とするのは「支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない」状態です。

したがって後見のようにあらゆる権利が付与されるわけではありません。

代理権が必要と認められる場合には、保佐の申立てとは別に申立てをすることで権限を付与されます。

同意権に関しても民法13条の1に定められた事由に付与され、取消権は同意権が付与された事項にのみ認められます。

民法13条の1に定められた事由は以下のとおりです。

  1. 元本を領収し、又は利用すること。
  2. 借財又は保証をすること。
  3. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
  4. 訴訟行為をすること。
  5. 贈与、若い又は仲裁合意をすること。
  6. 相続の承諾若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
  7. 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付贈与を承認すること。
  8. 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  9. 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
  10. 1~9の行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること。

なお、上記以外に同意権が必要な事項がある場合には付与が認められています。

保佐はすべてを代理するのではなく、本人が契約の内容や意味を理解できるようにサポートする制度です。
参考: 裁判手続家事事件Q&A|裁判所

補助

補助人の権限

補助は判断能力の低下が最も軽く、ひとりで判断する能力が不十分な方に支援を行います。

裁判所が設けた目安によると、補助を必要とするのは「支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することが難しい場合がある」状態です。

判断能力の低下は見られるもののできることも多く、契約等は本人に確認のうえでサポートをします。

補助の代理権は保佐と同様に、必要と認められる場合は申立てを行うことで付与されます。

同意権については、前段であげた民法13条の1に定められた事由の一部に付与され、保佐とは異なり民法13条の1以外の事項に付与されることはありません。

取消権も同意権が付与された事項のみに適用されます。

補助は契約の理解や判断が1人では困難な場合がある人を支援する制度です。

法定後見人の職務

法定後見人には以下の2つの職務があります。

・ 財産管理
・ 身上監護事務

それぞれ解説していきます。

財産管理

財産管理とは文字通り、意思能力が低下した本人に代わって後見人が財産を管理することです。

民法859条の1にて「後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。」と定められており、後見人は財産行為全般について管理する責任があります。

具体的な財産管理の例は以下のとおりです。

  • 金融機関の預金口座の管理
  • 不動産の管理
  • 財産の調査
  • 財産目録の作成
  • 家庭裁判所への報告

金融資産や不動産の管理は後見人の職務ですが、自宅の売却等は単独で行えるわけではなく、家庭裁判所の許可が必要です。

身上監護

身上監護とは、本人の生活を維持するための仕事や療養看護に関する契約等のことです。

民法858条にて「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と定められています。

具体的な身上監護の例は以下のとおりです。

  • 生活環境の整備
  • 介護サービス契約
  • 治療・入院等の手続きや支払い

「身上監護」という字から誤解されがちですが、食事や介護などのお世話は後見人の職務に含まれていません。

実際に世話や介護をするのは後見人ではなく、同居家族や介護サービス事業者です。

また、後見人は病院での治療や入院等の手続きはするものの、医療同意権はありません。

手術や輸血などの医療行為をする場合、家族に代わって後見人が同意することはできないので注意が必要です。
参考: 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン|厚生労働省

意思能力が低下すると困る6つの場面

認知症等によって意思能力が低下すると、契約等の法律行為や手続きができなくなり、下図のような事態が想定されます。

意思能力が低下すると困る6つの場面

後見人を立てればできるようになることもありますが、意思能力が低下した後では後見人がいてもできないこともあります。意思能力が低下するとどのような問題が生じるのか、それぞれ詳細を見ていきましょう。

後見人がいるとできること

後見人を申立てることで手続きが可能になる4つの事例をご紹介します。

  1. 銀行預金の管理・解約
  2. 不動産の売買
  3. 遺産分割協議
  4. 登記変更手続き

それぞれ順番に解説します。

1. 銀行預金の管理・解約

本人の意思能力が低下すると、銀行預金の管理や解約ができなくなります。

成年後見制度を利用する理由として圧倒的に多いのは「銀行預金の管理・解約」であり、判断能力が低下すると困る手続きの代表例です。

認知症と診断されると銀行口座が凍結され、本人が銀行に行ったとしても預金の引出しはできません。家族が代理で行うことも不可能です。

また、定期預金は窓口での手続きにて本人確認が必須のため、長年貯めてきた預金が解約できない事態になりかねません。

本人の意思能力が低下してしまった場合の銀行預金の管理・解約は後見人を立てることで可能となります。

しかし、後見人がつくと自由な財産管理はできなくなるため、例え本人のためであっても財産の使用が限定されてしまう可能性があります。

2. 不動産の売買

不動産の売買も判断能力が低下すると困る手続きの代表例です。

例えば「1人暮らしをしていた親が認知症を患い施設に入所することになったため、自宅を売って介護資金にしたい」と考えたとしましょう。

しかし、自宅の名義を有する本人が認知症によって意思能力が低下した場合、実子であっても代理で自宅を売ることはできません。

後見人を立てることで手続きは可能ですが、自宅を売却するためには家庭裁判所の許可を得る必要があります。

後見人申立てから始めるとなると、実際に自宅を売るまでに期間がかかり「入居一時金が用意できず介護施設へ入居ができなかった」などの事態に陥ることもあるので注意が必要です。

3. 遺産分割協議

相続が発生すると、相続人全員で遺産の分割方法を協議する「遺産分割協議」が行われます。

しかし、相続人にひとりでも認知症等により判断能力が低下した人がいると、遺産分割協議はできません。

その理由は、判断能力がなければ遺産分割協議をしても意思表示ができないからです。

例として、下図の家族構成で相続が発生したとします。

認知症の方が相続人になった場合

父が亡くなると、父名義の預貯金口座は凍結されます。

口座凍結解除には遺産分割協議が必要ですが、母が認知症のため協議ができません。

このままでは父名義の口座からお金を出せず、自宅などの不動産を売却することも不可能です。

相続人に意思能力が低下した人がいる場合、後見人を立てることで遺産分割協議ができるようになります。

とはいえ、後見人は意思能力が低下した人、例でいうと母の財産を守らなければならないため、必ずしも他の相続人の思い通りに遺産分割ができるとは限りません。

4. 登記変更手続き

家や土地の名義を変更したい場合、「所有権移転登記」という手続きが必要です。

しかし、認知症等によって名義人の意思能力が低下した場合、所有権移転登記はできません。

なぜなら、家や土地の「贈与」や「売却」は法律行為にあたるため、意思能力がなければ「無効」となってしまうからです(民法3条の2)。

認知症を発症した名義人の家や土地の名義を変更したい場合は、後見人を立てることで可能になります。

ただし、名義変更が完了したあとも後見を終了することはできません。

後見は本人の意思能力が回復しない限り、亡くなるまで継続します。

途中でやめられないので、目的を達成しても本人が亡くなるまで後見人に報酬を支払い続けなければなりません。

後見人がいてもできないこと

ここまで意思能力が低下しても後見人をつけることで解決できる事例を解説してきましたが、以下2つは後見人がいたとしてもできません。

  1. 資産運用
  2. 相続対策

それぞれ解説していきます。

5. 資産運用

本人の意思能力が低下すると、資産運用等の積極的な財産管理ができなくなります。

認知症を患うと銀行口座が凍結され、預金を引き出すためには後見人の申立てが必要です。

後見人を立てれば口座凍結の問題は解消しますが、後見制度では本人の財産を保護する必要性から、後見制度の利用開始後は家族であっても本人の財産を自由に動かすことはできません。

例え「本人の介護費用を捻出するため」という理由であっても、本人の財産を用いた投資・資産運用などを行うことは難しいでしょう。

6. 相続税対策

多額の財産を所有している場合、生前から相続税対策を考える方も多いでしょう。

しかし、認知症等によって意思能力が低下してしまうと相続税対策をとることは困難になります。

以下は相続税対策としてよく知られている例です。

・ 生前贈与(暦年贈与)
・ 不動産購入
・ 生命保険の非課税枠活用

存命のうちに相続税を節税しようと、毎年親族に暦年贈与をしていたとしましょう。

ところが、贈与開始から間もないうちに認知症を患ってしまったらどうでしょう。

暦年贈与は契約行為です。意思能力が低下してしまえば当然できなくなってしまいます。

不動産購入や生命保険も同様に、認知症発症後に契約はできません。

後見人を立てたとしても、積極的な財産管理は認めらないため、意思能力低下後の相続税対策は難しくなります。

法定後見人の選任

これまでの解説を読んで「法定後見人とはどのような人がなれるのか」「家族はなれないのか」と考える人も多いことでしょう。

本章ではその疑問にお答えします。

法定後見人はどんな人がなれる?

法定後見人は家庭裁判所が選任します。

後見人候補者の適性や流動財産の金額によっては司法書士や弁護士などの専門職が選任される場合もあり、誰が選ばれるかはわかりません。

見ず知らずの第三者が後見人に選任された、というケースも多々あります。

また「法定後見人になれる人」は定義されていませんが「法定後見人になれない人」は以下のように定められています(民法847条)。

  1. 未成年者
  2. 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
  3. 破産者
  4. 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
  5. 行方の知れない者

法定後見人は家族がなることも可能?

選任されるとは限りませんが、法定後見人に家族を希望することは可能です。

家庭裁判所の審判が得られれば、家族が後見人として手続きの代行や財産管理ができるようになります。

しかし、実際に家族が法定後見人になるケースは約2割程度と少数なのが現状です。

また、法定後見人を務める家族には大きな負担がかかります。

申立て時に多数の書類をそろえ、後見人に選任されたあとも年に1度は家庭裁判所への定期報告が必要です。

家族が後見人になるためには、それ相応の覚悟が必要でしょう。

家族が法定後見人になるためポイントや業務、注意点等の詳細を下記記事にまとめています。

家族が法定後見人になりたい場合はぜひこちらもご覧ください。

この記事では、家族であれば後見人になれるのかどうか、そもそも後見人になるためにはどのような資質や資格が必要なのか、そして、後見人になることができる法律上の要件としてどうのような制約があるのかについて解説します。後見制度の利用を検討している方や、後見制度の仕組みをしっかりと理解したい方は、ぜひ最後まで読んでください。
成年後見人になれる人とは?家族・親族は後見人になれる?

法定後見の申立て手続きと費用

後見開始の申立ては以下の流れで申立て手続きを行います。

定後見の申立て手続きの流れ

医師の診断書を取得し、必要書類を集めて、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます。

また、後見申立てにかかる費用は以下のとおりです。

・ 収入印紙:3,400円分
・ 送達・送付費用:3720円分
・ 鑑定費用(必要時):10~20万円程度
参考: 申立てにかかる費用・後見人等の報酬について|裁判所

その他、医師の診断書や住民票の取得費用も必要です。

なお、申立てが認められ後見が開始すると、上記費用以外に後見人への報酬が毎月発生します。

法定後見を含む成年後見制度の手続きの流れや費用の詳細については、下記記事にて解説しているのでこちらもぜひご覧ください。

成年後見制度は、家庭裁判所に対して後見人の選任を申立てることで開始します。この申立手続は、本人・配偶者・四親等以内の親族などから行うことが可能です。この記事では専門家に頼らず、本人の家族がご自身で成年後見の手続きを進めるために必要な情報をまとめました。
【完全版】成年後見制度の手続きの流れや申立方法を司法書士が解説

法定後見以外に利用できる対策

意思能力が低下してしまうと法定後見を利用するしか道はありません。

しかし、本人の意思能力が低下する前であれば以下2つの認知症対策が利用可能です。

  • 任意後見
  • 家族信託

それぞれ解説していきます。

任意後見を利用する

任意後見の仕組みと契約内容

意思能力の低下前であれば、将来的な対策として任意後見が利用可能です。

任意後見は本人が十分な意思能力を有するうちにあらかじめ契約をし、認知症等によって必要性が生じたら効力が発動します。

家庭裁判所が後見人を選任する法定後見と異なり、信頼する人を指名できる点が特徴です。

親族等を後見人に選任でき、将来希望するライフプランを実現できる点で法定後見よりも使い勝手が良いと言えるでしょう。

しかし、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」という専門家の監督があり、リスクの高い資産運用などはできません。

また、法定後見人よりは安いものの、任意後見監督人にも報酬は発生します。

法定後見ほどありませんが、任意後見でも財産管理は制限されることを知っておかなければなりません。

家族信託を利用する

家族信託の仕組み

意思能力の低下前であれば、家族信託を利用するという手もあります。

家族信託とは意思能力の低下に備えて、あらかじめ家族に財産の管理・運用する権利を与えておく仕組みです。

事前に家族信託を結んでおけば、本記事で紹介した「意思能力が低下すると困る6つの場面」の悩みが解消できます。

後見人を立ててもできなかった資産運用や、直接的な節税効果はないものの相続税対策も可能です。

意思能力が低下する前の契約が不可欠ですが、家族信託であれば本当の意味での「資産凍結」を避けられるでしょう。

家族信託については下記記事にて詳細を解説しています。興味がある方はぜひこちらもご覧ください。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。認知症が進行し意思能力を喪失したと判断されてしまうと、銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない(口座凍結)、自宅を売却できないなどのいわゆる「資産凍結」状態に陥ってしまいます。そのような事態を防ぐために、近年「家族信託」が注目されてきています。この記事では家族信託の仕組みやメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを徹底解説します

法定後見の利用を検討する場合は専門家に相談しよう

意思能力が低下すると判断能力がないとみなされ、契約等の法律行為ができません。

銀行口座等の資産が凍結され、財産管理が困難になってしまいます。

対策をしないまま認知症等によって意思能力が低下してしまうと、法定後見制度を利用するしか道はありません。

しかし、現時点で意思能力が喪失していなければ、任意後見や家族信託など法定後見以外の選択が可能な場合もあります。

状況によってどの制度が最適かはケースバイケースです。

とはいえ、自分で最適な選択ができるか不安な方もいらっしゃるかと思います。

最適な選択をするためには、司法書士などの専門家に相談するのもひとつの方法です。

当社は認知症対策を専門に取り扱う司法書士が多数在籍しております。

無料相談も行っていますので、お悩みの方はぜひお気軽にご利用ください。

成年後見制度でお悩みの方へ

専門家のイメージ

成年後見制度では、財産の柔軟な管理ができない、家族が後見人になれない、専門家への報酬が高いなど、さまざまな課題があります。

認知症に完全になる前であれば、任意後見や家族信託など、他の制度を選択することもできます。費用や各制度のデメリットなど、専門家と相談し慎重に決めることをおすすめします。

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