家族信託は、どこに相談するのが一番良いのでしょうか。
司法書士、弁護士、税理士、または銀行や自治体など、選択肢が多くて悩んでしまいますよね。
本記事では、家族信託の相談先としておすすめの専門家や、その選び方をご紹介します。
また、具体的な事例も挙げて「家族信託がどのように活用できるのか」「そもそも家族信託は必要なのはどんなケースか」についても、掘り下げて解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
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目次
家族信託は誰に相談すべき?
結論、家族信託の相談をする相手は、司法書士が最もおすすめ です。
その大きな理由は、数ある士業(弁護士・司法書士・税理士など)のなかで、司法書士が最も、家族信託にマッチした分野を専門としているためです。
具体的には「登記手続き」や「成年後見制度」、それらに関する相談などの業務が挙げられます。
司法書士の主な業務
- 不動産の登記手続き・登記に関する相談
(不動産の信託では信託登記が必須) - 後見人としての業務・成年後見制度に関する相談や手続き
(家族信託は成年後見制度と比較されたり、任意後見制度と併用したりすることも多い) - 遺言や遺産分割協議など、生前対策や相続に関する相談・書類作成・手続き
(家族信託は遺言や生前対策としての役割を果たす)
登記手続きを専門とすることが、司法書士の大きな特徴 であり、家族信託を相談するうえでの大きなメリットです。
なぜなら、不動産を家族信託する場合は、その不動産に関する 「信託登記」が義務付けられているためです(信託法34条の1の1)。
つまり、司法書士は、家族信託について、相談から信託登記の手続き、アフターサポートまでトータルでカバーできるため、家族信託の相談には最適だと言えます。
弁護士や税理士・銀行など他の相談先との比較は後段で解説します。
しかし、専門家へ相談する前に、そもそも「自分たちに家族信託が必要なのか?」「何も知らずにいきなり相談するのは不安…」と悩まれる方も多いでしょう。
そこで、まだ家族信託について理解しきれていない方や、知識が乏しいことが不安な方に向けて「家族信託についてまず理解しておくべきこと」について触れておきます。
家族信託について理解しておくべきこと
家族信託の設計のポイントや、メリット・デメリットはたくさんありますが、まず理解しておくべきことピックアップしてご紹介します。
家族信託について理解しておくべきこと
- 当事者や家族の状況・希望に合わせてオーダーメイドで設計する必要がある
- 家族信託は仕組みであり、法律の専門知識が必要である
- 家族信託は法律行為であり、当事者の意思能力が必要である
- 認知症による資産凍結が起こると、成年後見制度を利用しなければならない
当事者や家族の状況・希望に合わせて1から設計していく必要がある
家族信託は「財産管理の一手法」であり 「とりあえずやっておけば安心」という万能策ではありません。
当事者や家族で定めた一定の目的のために、委託者から受託者へ財産管理を託し、受託者は、信託が終了するまで責任を持って財産管理をしていく必要があります。
家族信託の目的は、家族によってさまざまです。
例えば「高齢の親が所有する賃貸アパートの管理を子に引き継いでおきたい」「介護資金を親の預金から工面できるようにしておきたい」などがあります。
家族信託は、明確な目的に沿って、家族で話し合いながら綿密に設計し、受託者の適切な財産管理が行われて初めて、機能するものであることを覚えておきましょう。
家族信託は仕組みであり、組成するには法律の専門知識が必要である
家族信託は、法的な制度であるため、法律や判例の知識を踏まえて組成し、信託契約書を作成する必要があります。
中には、ネット上のひな形などを参考に、自分たちで契約書を作成しようとする方もいますが、信託法に抵触したり、後々親族トラブルにつながったりするリスクがあるため、おすすめはしません。
初回は無料相談を行なっている司法書士もいますので、本記事で紹介する「家族信託の相談先を選ぶ7つのポイント」も参考にして、まずは相談してみましょう。
家族信託は法律行為であり、当時者の意思能力が必要である
また、家族信託は信託契約を締結する法律行為 です。
法律行為は、当事者の意思能力が必要となります(民法3条の2)。
親の認知症が進行している段階では、家族信託自体ができない可能性も考えられます。
だからこそ、早めに専門家へ相談し、専門家からアドバイスを受けることが重要となるのです。
資産凍結が起こると、成年後見制度(法定後見)を利用しなければならない
もし、家族信託などの対策をせず、本人の認知症が進行し、実際に資産凍結が起こった場合、凍結を解除するには「成年後見制度(法定後見) 」を利用しなければなりません。
成年後見制度とは、判断能力が低下した本人の財産管理や法律行為を支援し、本人の権利を守るための制度です。
家庭裁判所が選任した成年後見人等(※)が、本人に代わって財産管理を行えるようにはなりますが、いくつか深刻な問題点があります。
※本人の判断能力に応じて「成年後見人」「保佐人」「補助人」のいずれかが選任されます。
成年後見制度(法定後見)の問題点
- 一度利用開始すると、原則本人の死亡までやめられない
- 成年後見人等(司法書士や弁護士など)への報酬が発生する(月額2〜6万円程度)
- 支出の目的が制限される
※あくまでも本人を守るための制度ですので、本人の利益に結びつかない支出(孫への贈与や元本保証のない投資など)は認められません。 - 親族が選任された場合でも、後見事務の負担は大きく、家庭裁判所の監視を受ける
成年後見制度では、成年後見人等が選任され、専門家後見人への報酬が、原則本人の死亡まで発生します。
また、支出の用途は制限され、本人の生活に必要なもののみ認められるため、財産の柔軟な管理や運用はできなくなるのです。
成年後見制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
【完全版】成年後見制度とは?わかりやすく解説します
成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、認知症や知的障害などで判断能力が低下した人の契約や財産管理のサポートを行う制度です。「成年後見人」を家庭裁判所から選任してもらい、本人に代わって様々な手続きを行なってもらいます。この記事では成年後見制度についてわかりやすく説明し、同時に最近注目を浴びている家族信託との比較についても解説します。上記のような成年後見制度の問題点を克服し、より柔軟な財産管理が実現できるのが「家族信託 」です。
早めに専門家へ相談し、対策を考えることで、成年後見制度の問題点に悩まされる事態も防ぐことができます。
家族信託をより深く理解したい方へ
<家族信託の基礎知識を固めたい方>
以下の記事では、家族信託の仕組みや、メリットデメリット、手続きの流れなどが理解できるようになっています。
家族信託とは?メリット・デメリットや手続きをわかりやすく解説!
家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ仕組みです。本記事では家族信託の詳細や具体的なメリット・デメリット、発生する費用などについて詳しく解説します。将来認知症を発症しても、親子ともに安心できる未来を実現しましょう。<自分の家族に「家族信託が本当に必要なのか」見極めたい方>
画期的な制度ですが、もちろん全ての家族に最適な制度というわけではありません。
以下の記事では、家族信託が不要なケースをご紹介しています。
自分には家族信託は必要ない?家族信託が不要な4つのケース
今回は、家族信託が必要ないケース、家族信託が必要なケースについて解説していきます。家族信託制度を使うべきか、判断材料として活用してみてください。同時に家族信託やその他の制度を知ることで、ご自身と家族にとって最適な方法を選択していきましょう。家族信託の相談先と特徴
家族信託の相談先として、司法書士が最もおすすめ だと述べました。
しかし、中には、弁護士や税理士、銀行、自治体などに相談しようと検討されていた方もいるのではないでしょうか。
なぜ、数ある相談先のなかで司法書士が最も家族信託に向いているのか。
他の相談先と司法書士で、できること・できないことの違いを比較しながら解説していきます。
司法書士:家族信託の関連業務を網羅している
司法書士は基本的に、家族信託に関する業務全てに対応可能 です。
司法書士は、法律の専門家として、登記手続きの代理や相談、裁判所への書類作成、簡易裁判所管轄の民事事件(対象額140万円以下)の代理などを行います。
このように、司法書士の業務範囲は広いのですが、なかでも最も多い業務が「不動産登記の手続き」です。
また、司法書士は成年後見人としての業務や、成年後見制度の申立て手続き、相続や遺言書に関する民事事件の受任なども幅広く行っています。
よって、家族信託にも関連性の高い相続や生前対策の知識を豊富に有しており、より家族に合った最適な提案ができるといえるでしょう。
家族信託の相談から信託契約書の作成、公正証書作成手続き、信託登記手続き、アフターサポートまでワンストップで依頼することができます。
ただし、家族信託により家族や親族の間でトラブルが発生した場合、司法書士は対象額が140万円を超える調停・裁判手続きの代理を行えません。
このような事態に発展した場合は、弁護士への依頼・連携が必要です。
弁護士:家族間・親族間トラブルが不安な場合
弁護士は、司法書士と同様に法律の専門家です。
弁護士には、法律業務において全ての権限が与えられ、司法書士ができない「対象額140万円以上の民事事件・刑事事件手続きの代理」も可能です。
実際に、弁護士の業務は「民事事件・刑事事件の代理・弁護活動・示談交渉など」が大半を占めています。
弁護士は法律業務の制限がないため、信託登記の手続きも行えます。
よって、家族信託でも一貫したスムーズなサポートができる可能性は高いです。
ただし、弁護士に家族信託の相談をする場合は、以下のような問題点が考えられます。
- 家族信託を専門にしている弁護士が少ない
- 他の士業に比べ、報酬が高額になる傾向がある
例えば、信託財産が3,000万円の家族信託の場合、司法書士に依頼すると約40万円程度ですが、弁護士に依頼すると60〜70万円程度が必要だと言われています。
弁護士は業務の大半を「民事事件・刑事事件の代理・弁護活動・示談交渉など」に費やしているため、家族信託や登記手続きを専門的に扱っているケースは少ないのです。
実際に、弁護士へ家族信託の相談をしても、登記手続きは司法書士へ外注するというケースも見られます。
また、相談・依頼にかかる費用も、司法書士よりも高額な傾向にあるようです。
ただし、調停や訴訟の手続きを、制限なく行える士業は弁護士のみ ですので、相続トラブルなどで調停や裁判が想定される場合は、家族信託の経験が豊富な弁護士に相談するとよいでしょう。
そうすれば、信託契約成立後に紛争が発生したとしても、初めから事情を理解している担当弁護士が、適切に処理してくれるはずです。
その他の士業(税理士・行政書士)
その他、相談先の選択肢に含まれるのが、税理士や行政書士です。
- 税理士
税理士は、税と会計の専門家です。
法律の専門家ではないため、信託契約書の作成や登記手続きなどの対応は最終的に司法書士や弁護士となる可能性があります。
しかし、家族信託を活用して、相続税対策も行いたいというケースも多く、この場合は税理士の専門知識が必要となることもあるでしょう。
そこで、税金対策もカバーするためには、税理士が所属する、もしくは税理士とのネットワークが確立されている司法書士法人や法律事務所への相談が、最もおすすめです。
- 行政書士
行政書士は、官公署(各省庁、市区町村役場、警察署など)に提出する書類の作成や、遺言・契約書などの書類の作成などを行います。
一言でいうと、法的な知識を考慮して書類を作成する専門家です。
例えば、飲食店を開業するときに提出する飲食店営業許可申請書の作成と手続きを代理したり、遺産分割協議書・各種契約書の作成を代理したりします。
よって、行政書士は、家族信託の業務でいうと、契約書の作成に特化しています。
信託の契約書作成についての相談はできても、その後の手続きの代理はできない部分が多く、結局は司法書士や弁護士の力が必要となります。
銀行:商事信託か民事信託かを見極める
銀行で提供されているサービスの中に「家族信託」や「信託」の単語が含まれているものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、銀行の信託は、通常の家族信託とは異なり「商事信託」である可能性があるため、見極めが必要です。
商事信託とは、信託銀行など、信託業の免許を受けた信託業者が受託者として就任し、委託者(サービス利用者)の財産管理を行うことで、手数料をもらうという営利目的の信託です。
一方で、受託者が子や兄弟など、営利を目的としない人や法人の場合を「民事信託」 といいます。
本来の家族信託は、この「民事信託」です。
よって、銀行のサービスではそもそも、家族に財産を託す「家族信託」ではない可能性があるため、注意が必要です。
しかし近年では、銀行でも「民事信託」としての家族信託の組成サポートを行っているケースも多々見られます。
ただし、このケースでも、銀行は結果的に司法書士などの士業を紹介する窓口として機能することがほとんどです。
この場合、司法書士への報酬と銀行への手数料(サービス利用料)が二重でかかることも考えられます。
そのため、やはり直接司法書士や弁護士など、家族信託を得意とする専門家へ相談した方がスムーズでしょう。
自治体:時間制の法律相談窓口
各自治体では、1回につき30分程度での、弁護士への法律相談やライフプラン相談などの窓口が設けられています。
1回の相談時間には制限があり、毎回同じ専門家が対応するというわけではありませんので、あくまでも、小さな疑問の解決や、問題解決の糸口としての利用がおすすめです。
自治体によって、対応している相談内容や制限時間などは異なります。
詳しくは、各自治体のHPをご確認ください。
家族信託の相談にはいくらかかる?
家族信託の相談料は、専門家によって異なります。
初回相談を無料 で受けている専門家も珍しくありません。
また、2回目以降は一般的に、相談料として30分間5,000円や1時間1万円程度に設定されていることが多いようです。
しかし、これはあくまでも相談の場でかかる費用です。
実際に、家族の状況や希望に応じた家族信託を組成し、手続きを進め、信託を実行するという一連の流れを専門家へ依頼するには、他にも費用がかかります。
実際に家族信託を専門家に依頼するといくらかかる?
実際に家族信託を専門家に依頼する場合にかかる費用は、一般的なご家庭で30〜60万円前後 が目安です。
この費用の中には、専門家に対して支払う費用と、実費(専門家に依頼しなくてもかかる費用) が含まれています。
内訳は以下の通りです。
以下の記事では、家族信託でかかる費用の内訳を詳しく解説しています。
家族信託の費用についてより詳しく知りたい方は、ご確認ください。
【家族信託の費用・相場】安く抑えるためのポイントとは?わかりやすく解説します
家族信託の費用は信託する財産の額によって異なります。専門家に依頼すると実費に加えてコンサルティング費用かかりますが、費用削減だけを考えて自分でやるとトラブルが発生する可能性も高まります。家族信託の費用や自分でやる際の注意点をみていきましょう。家族信託の相談先を選ぶ7つのポイント
家族信託は司法書士へ相談するのが最もおすすめですが、決して 「司法書士であれば誰でも良い」というわけではありません。
家族信託に取り組んだことがない専門家は多く、相談先を間違えてしまうと、安易に成年後見制度を勧められたり、信託契約書の内容に不備が生まれたりするリスクも考えられます。
そこで、相談先を選ぶポイントを7つご紹介しますので、専門家選びの参考にしてください。
家族信託の相談先を選ぶ7つのポイント
- 家族信託の経験・実績があるか
- 家族信託を専門分野・得意分野としているか
- SNSやHPでの情報発信が活発に行われているか
- 家族信託専門士の資格を保有しているか
- アフターフォローも充実しているか
- 十分な説明があり、信頼できるか・相談しやすいか
- 専門外の士業とのネットワークが豊富か
それぞれみていきましょう。
1. 家族信託の経験・実績が豊富か
まず、家族信託の依頼を数多く受けてきており、経験と実績が豊富な専門家 を選びましょう。
近年、家族信託の需要は高まり、普及も進んでいるとはいうものの、比較的新しい制度であるため、経験のない専門家も多くいます。
また、机上での理解はしていても、実際に業務として家族信託を経験してみなければ掴めない部分もたくさんあります。
そこで、相談する前に、家族信託の豊富な経験・実績があるかどうかを必ず確認しましょう。
事例や実績が、HPなどに明記されていると安心です。
不明な場合は直接問い合わせてもOKです。
経験が豊富であればあるほど、実際のトラブル例や失敗例も踏まえ、細部までこだわり、法的なリスクや親族間のトラブルを最大限回避した家族信託を組成できるでしょう。
2. 家族信託を専門分野・得意分野としているか
家族信託を専門分野・得意分野としている専門家を選ぶことも重要です。
判断するには「HPやSNSに記載があるか」や「家族信託に関する著書があるか」を確認するとよいでしょう。
士業には、それぞれ専門分野や得意分野があります。
例えば司法書士では、遺言や成年後見制度などの「生前対策」を得意としていることもあれば「家族信託」を専門的に取り扱っていることもあります。
税理士でも「相続税対策」に特化している場合もあれば「起業やスタートアップの支援」に特化している税理士がいるのと同様です。
よって、家族信託に積極的に取り組んでいる、家族信託に特化して取り組んでいることが明確な司法書士に相談することをおすすめします。
3. SNSやHPでの情報発信が活発に行われているか
SNSやHPで家族信託について活発に情報発信している専門家を選ぶこともおすすめです。
家族信託に精通している専門家は、SNSやブログ記事などで、家族信託の仕組み・メリット・デメリットなどを積極的に発信している傾向にあります。
「おやとこ」を運営する弊社においても、家族信託についての情報収集に役立つコラムを日々更新しています。
家族信託の入門的な知識から、事例や少し掘り下げた内容までアップしていますので、ぜひご覧ください。
4. 家族信託専門士の資格を保有しているか
「家族信託専門士」とは、一般社団法人家族信託普及協会が主催する資格であり、当協会の会員である行政書士、司法書士、弁護士が取得できます。
参考: 家族信託コーディネーター・家族信託専門士とは?|一般社団法人 家族信託普及協会
家族信託専門士の資格を保有していれば、家族信託について実践レベルで理解し、相談対応からアフターフォローまで専門士業として関われるレベルにある専門家だといえます。
家族信託専門誌の資格を取得するには、所定の2日間の集合研修と修了課題に参加しなければなりません。
参加費用も安価ではないため、士業として家族信託に前向きに取り組もうという意識をもつ専門家に出会いやすいでしょう。
家族信託普及協会が謳う、家族信託専門士の業務領域は、以下の通りです。
- お客様、そして間に入られる各種の方々との上手な連携
- 信託組成が適切かどうかの判断
- 信託のスキームの立案
- 信託契約組成に関わる見積書の作成
- 信託契約書の作成実務
- 公正証書作成支援、信託登記実務
- 信託組成後の継続フォロー(信託監督人、受益者代理人など)
5. アフターフォローが充実しているか
家族信託の専門家を探す際は、信託契約締結後のアフターフォローが充実しているかどうかも確認しましょう。
家族信託は「委託者の死亡まで」または、子や孫など複数世代にわたって続く長期間の契約です。
家族信託の期間に、法律や判例が変更されたり、家族や信託財産の状況が変化したりすると、信託契約の内容や運用方法まで変えなければならない可能性があります。
この場合「どのように変更すればよいか」を考え、「信託契約変更に関する覚書や契約書の締結」を行うには、再び法律の専門的な知識が必要です。
長期間で何が起こるかは、ご家族にも専門家にも分かりません。
万が一に備えて、いつでも力を貸してくれる専門家がいることで、当事者や家族も心強く思えるでしょう。
また、信託内容や家族・財産の状況に変更が生じても、家族信託の検討当初から相談・依頼をしていた専門家であれば、スムーズに相談や手続きを進められます。
家族信託を専門家に相談する際は「アフターフォローが充実しているか」「アフターフォローにはどれくらいの費用がかかるのか」についても、確認しておきましょう。
6. 十分な説明があり、信頼できるか・相談しやすいか
専門家を選ぶ際は、専門家自身の知識や経験ももちろんですが、その専門家と「相性が良いか」「真摯に話を聞いてくれ、相談しやすいか」なども重要なポイントです。
家族信託では、専門家に家族の希望や内部事情まで細かく把握してもらい、信託契約書を作成する必要があります。
家族信託では、家族の事情や当事者について詳しく理解してもらうほど、家族にとってよりメリットの大きい信託を組成することができます。
しかし、専門家と話しにくかったり、態度や印象に信頼できない部分があったりすると、なかなか心を開いて事情を伝えることは難しいでしょう。
よって、家族信託の専門家は、その実績や知識の豊富さだけでなく、話し方や態度、相性などさまざまな観点から、信頼できる人を選ぶようにしましょう。
7. 専門外の士業とのネットワークが豊富か
より家族・親族にメリットが大きい家族信託を組成するには、法律の知識はもちろんのこと、税金や不動産売買、保険など幅広い知識が必要となります。
例えば、司法書士・税理士・ファイナンシャルプランナー・保険代理店など、それぞれの分野に精通した専門家とのネットワークが構築されていることが理想です。
幅広い専門家の知識や意見を取り入れられれば、例えば、家族信託に加えて生命保険を活用したり、相続税を最大限節税できるような受託者の財産管理方法を考えたりすることもできます。
それぞれの専門家へ個別に相談することは、手間も費用もかかりますので、複数の専門家が所属している司法書士法人が最もおすすめです。
複数の専門家が所属している司法書士法人などであれば、事業者としての継続性が見込まれるため、長期間にわたって安心して依頼できるといえます。
家族信託でよくある相談事例
家族信託でよくある相談事例をご紹介します。
ぜひ、ご自身やご家族の状況と照らし合わせてご覧ください。
家族信託の相談事例
- 親が認知症になったときの口座や不動産の凍結が心配
- 親の老後の介護費用を賄えるか心配
- 自分の死亡後、子どもの結婚相手に財産を流したくない
- 親に認知症の気配があるが、相続税対策をしたい
親が認知症になったときの口座や不動産の凍結が心配
家族信託は、認知症による資産凍結対策 として非常に有効です。
繰り返しにはなりますが、認知症で判断能力が低下すると、自分の預金や不動産、有価証券を自由に処分できなくなってしまいます。
このリスクを排除できるのが、家族信託です。
預金や不動産など、財産の所有者が認知症であれば、その財産は凍結するリスクがあります。
しかし、あらかじめ所有権を受託者(主に子)へ移転しておく家族信託では、そのリスクを根本から排除することができるということです。
親の預金口座から受託者(子)が管理する「信託口口座」へお金を移動させる
信託口口座のお金は、親の認知症に関わらず、受託者が引き出すことができ、生活費や医療費などにあてられる親が所有する不動産を信託して、受託者(子)へ所有権を移転する
親が認知症になり、有効な意思表示ができなくなっても、子が代わりに売却し、それにより得たお金を親の生活費や医療費にあてられる親の会社の自社株を、後継者である受託者(子)へ信託する
親が認知症で意思表示ができず、会社の重要な意思決定や議決権行使ができなくなることを防ぎ、経営権の承継も行う
認知症に備えた対策として、他にも遺言や成年後見制度の利用が考えられますが、家族信託は、それらの弱点を克服した制度ともいえます。
経験豊富な司法書士であれば、家族の希望や状況を総合的に考えて、家族信託を含めた最適な対策を提案してくれるでしょう。
認知症になってから・判断能力が低下してからでは遅いですので、まずは早めに相談してみましょう。
家族信託は認知症発症後でもできる?判断基準や始める時期を徹底解説
家族信託は、認知症になったからといって、すぐにできなくなるというわけではありません。 家族信託に関する理解や、判断能力が確認できれば、認知症発症後でも取り組めるケースがあります。家族信託ができるかどうかの判断基準や認知症の程度について、詳しく解説していきます。親の老後の介護費用を賄えるか心配である
親の老後には、介護施設の入居や入院などで高額なお金が必要となる機会も増える可能性があります。
老後は、親自身の預金口座から支払ったり、不動産を売却して介護費用にあてたりするケースが一般的です。
ただし、認知症により財産が凍結した場合は、親の介護費用を賄えなくなってしまう おそれがあります。
特に、介護施設の入居時には、まとまった額の入所費用と、継続的な月額費用両方がかかることがほとんどです。
何も対策せずに親が認知症になってしまうと、「本人に財産があるのに、それを介護費用にあてられない」というジレンマに陥ってしまいます。
家族信託を活用すれば、受託者が預金を引き出したり、不動産を売却したりなど、受託者が代わりに財産を管理・処分することで資金の捻出が可能です。
高齢の親がいる家庭では、後々の資金捻出方法について、しっかりと計画を立てておきましょう。
自分の死亡後、子どもの結婚相手に財産を流したくない
家系図によっては、相続により財産が自分の家系の外に流れる 可能性もあります。
例えば、配偶者が死亡しており、長男と、長女に夫と子(本人から見ると孫)がいるとします。
この場合、自分(父)の死亡後は、長男と長女が財産を相続します。
ただし、長女の死亡後は別の家系である長女の夫に財産が承継され、自分の財産は他の家系へ流れてしまう可能性があるのです。
相続に関して指定する方法として、遺言がありますが、遺言では、自分の死亡後の相続についてしか指定できません。
長女の死亡後の財産承継に関する希望があったとしても、遺言では指定できず、実現できません。
この状況を回避するには、家族信託で、受益者を複数世代に渡って指定する方法(「受益者連続型信託」)が有効です。
例えば、自分が長男に財産を信託し、家族信託組成時は自分が受益者、自分の死亡後は長男(第二受益者)、長男の死亡後は孫(第三受益者)という形で、受益者を連続して承継するように設計できます。
相続については、家庭によって複雑な想いがあったり、トラブルになる可能性があったりするかもしれません。
もし、調停や訴訟などトラブルの可能性が残されている場合は、弁護士が所属する士業法人、または弁護士へ相談することが最適なケースもあるでしょう。
このような、複雑な事情がある相続対策での家族信託の活用については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
【後継遺贈型信託】義理の息子に相続したくない場合に家族信託が有効
「義理の息子には代々受け継いだ財産を渡したくない!何か良い方法はありますか?」土地や収益物件を所有しているオーナーさんから上記のような悩みを伺うことがあります。本記事では、そんな地主さんやオーナーさんの想いをかなえる手段の一つとして、家族信託の仕組みをご紹介し、活用方法について解説いたします。親に認知症の気配があるが、相続税対策をしたい
家族信託を利用したからと言って、直接的に税額を減らすことはできませんが、間接的に相続税対策につなげることは可能です。
一般的に、相続税対策とは、財産の評価額を下げたり、生前贈与を活用して遺産総額を減らしたりして、相続税額を下げることをいいます。
例えば、余剰資金で不動産を購入すると、金銭よりも不動産の方が評価額を下げられるため、相続税が節税できる、というような形です。
ただし、不動産の購入や建築などは、当事者の判断能力が低下してしまうとできない可能性が高まります。
※意思能力がなければ法律行為が無効になるため(民法3条の2)
そこで、例えば、親の金銭を子へ家族信託すれば、子が受託者として、そのお金で不動産を建築または購入し、相続税対策を実行できるようになります。
つまり、家族信託により、相続税対策を確実に実行できるようになり、結果として節税にもつながる、ということです。
税制や節税については、税理士の専門分野です。
相続税対策も踏まえた家族信託を行うには、税理士が所属している司法書士法人や、家族信託に詳しい税理士で、司法書士も提携している専門家への相談がおすすめです。
【家族信託と相続税対策】家族信託をすると節税できるって本当?
この記事では、家族信託をすることで相続の対策(相続税対策)ができるのか、家族信託と税金の関係について解説します。また、相続対策としての家族信託の実際の活用事例や、その際支払う税金についても、わかりやすくご紹介します。家族信託の相談はとにかく早めに!
家族信託に取り組むにしても、取り組まないにしても、専門家への相談はできるだけ早めにすることが鉄則です。
認知症対策として家族信託を考える方は非常に多いものの、家族信託は信託契約という法律行為であるため、意思能力のある段階での契約が必須となります。
内閣府の平成29年版高齢社会白書によれば、2025年には65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症になると予想されています。
認知症と診断を受けたからといって、すぐに契約ができなくなる、というわけではありませんが、時間が経つにつれ認知症のリスクは高まっていきます。
家族信託は認知症発症後でもできる?判断基準や始める時期を徹底解説
家族信託は、認知症になったからといって、すぐにできなくなるというわけではありません。 家族信託に関する理解や、判断能力が確認できれば、認知症発症後でも取り組めるケースがあります。家族信託ができるかどうかの判断基準や認知症の程度について、詳しく解説していきます。実際、士業に相談するには、少し腰が重い・ハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、一度資産凍結が起こってしまうと、その後の手続きの方がよっぽど面倒です。
まだまだ元気だからこそ、今のうちに相談しておくという人も増えてきていますので、少しでも家族信託に興味があれば、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
家族信託は比較的新しい制度のため、経験が豊富な専門家は限られており、相談先を探すことが難しい傾向にあります。
しかし、高齢になると年々認知症のリスクも高まりますし、一度資産凍結が起こると、成年後見制度(法定後見)を利用せざるを得なくなる可能性もあります。
もし、本当に家族信託が必要か迷っているという方がいれば、その点も含めて専門家へ相談することがおすすめです。
今回ご紹介したポイントを参考に、YouTubeやSNSでの情報発信や書籍の出版をしていたり、家族信託の実績を明記していたりする専門家を探してみましょう。
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