「おやとこ」(https://trinity-tech.co.jp/oyatoko/)などを運営するトリニティ・テクノロジー株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役:磨和寛、以下トリニティ・テクノロジー)は、家族信託などの利用動向を示す土地の信託登記件数について調査した。
目次
調査サマリー
家族信託などの利用動向を示す土地の信託登記件数は、2022年は昨年対比で137%増加した。
土地の信託登記件数は毎年おおよそ120%の増加傾向にあったが、2022年は例年に比べ増加していることがわかる。
都市別では千葉エリアで153%、横浜エリアで147%などの増加が確認された。
調査概要
調査方法:法務省登記統計表 土地の登記のみの件数より調査
調査期間:2023年3月3日
≪利用条件≫
- 情報の出典元として「おやとこ」の名前を明記してください。
- ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://trinity-tech.co.jp/oyatoko/
調査背景
家族信託は私契約であるため、その利用件数を正確に把握することは出来ない。
そこで本調査では家族信託の利用状況の動向を把握するために、不動産を信託した際に必須となる不動産(土地)の信託登記件数の調査や、「家族信託」のウェブ上における検索件数の調査を行なった。
※家族信託については以下を参照
https://trinity-tech.co.jp/oyatoko/column/1/
昨年対比153%のエリアも。2022年の土地信託登記件数の動向
不動産を信託した場合には当該不動産について信託した旨の登記手続きを行う必要があるため、家族信託の動向を把握するためには不動産の信託登記件数が参考となる。
※信託の登記は商事信託などの家族信託以外の信託においても発生するため、当該件数は家族信託の件数とは一致しない
出典:法務省 登記統計表 土地の登記のみの件数
https://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touki.html
土地信託登記件数は2016年には4,520件であったが、毎年おおよそ20%の伸び率で増加し続け、2022年においては昨年比137%で推移し、年間では17,572件であった。
2022年12月までの土地信託登記件数の昨年対比をエリア別に見ると、千葉で153%、横浜で147%、名古屋で145%、大阪で140%などと各地の都市部で特に増加したことがわかる。
インターネット検索回数から見る家族信託の認知度の上昇
「家族信託」のインターネット検索回数を調査すると、その認知度が毎年増加していることが分かる。
出典:Googleトレンド
※2014年の検索回数を1とした場合の相対値
はじめて「家族信託」というキーワードが一般に現れたのは、信託法が改正された2006年頃である。
信託法が改正されたことにより一般家庭での財産管理における信託活用の道が開かれ、一部の専門家の中で「家族信託」という新たな手法が見出された。
その後しばらくは家族信託が大きな注目を浴びることはなかったが、2014年から徐々に検索回数が増加し、2017年にNHKなどのマスメディアに大きく取り上げられたことをきっかけに、大きく検索回数が増加したものと考えられる。
認知症の患者数の増加
Q3で「何度もある」「1〜2回ある」と回答した方に、「Q4.家族信託の組成件数を教えてください。(自由回答)」(n=30)と質問したところ、「4件」や「20件以上」など24名からの回答を得ることができました。
出典:厚生労働省老健局 認知症施策の総合的な推進について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000519620.pdf
厚生労働省によれば、2012年に450万人だった全国の認知症患者数は、2025年には700万人を突破し、高齢者のうち5人に1人が認知症となる時代に突入すると推計されている。
また2050年には人口約1億人に対し、高齢者が約3800万人(人口対比約37.7%)、認知症患者が約1000万人(同約10%)となる見込みである。
家族信託は主に高齢者の認知症による財産凍結の対策として利用されるため、高齢者や認知症患者数の増加に伴い、家族信託の利用者数は今後さらに増加すると考えられる。
以上、家族信託の利用動向を調査した。
高齢化による認知症患者数の増加などから、家族信託を中心とした認知症による資産凍結対策の需要は今後も増加するものと考えられる。