遺贈寄付とは、自身の財産を相続人以外の個人や団体へ寄付することです。
遺贈寄付先は本人の希望によってさまざまですが、たとえば教育機関や医療機関、自治体などが挙げられます。
遺贈寄付の方法としては、遺言書や金融機関への信託が一般的です。
他にも、家族信託を活用すると、遺贈寄付に加えて、本人の認知症や相続など、包括的な対策ができる場合があります。
それぞれの方法で、メリットや注意点、進め方が異なりますので、本記事で詳しく解説していきます。
ご自身や親御様が遺贈寄付を検討されている場合は、ぜひ参考にしてください。
遺贈寄付を検討している方へ

相続財産を希望する団体や自治体へ寄付することを検討されている場合は、遺言書や信託で事前に準備しておく必要があります。
希望の寄付先へ遺贈寄付ができるかどうか、どのように手続きを進めるべきかについては、相続や法律の専門家へご相談ください。
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目次
遺贈寄付とは
遺贈寄付とは、自身の死後に相続財産の一部または全部を特定の個人や公益法人、NPO法人、自治体、教育機関、医療機関などへ無償で贈与することです。
遺贈寄付の背景はさまざまですが「社会に貢献したいから」「自分の財産を自分の意思で処分したいから」という理由が多いといわれています。
遺贈寄付の方法3つ
遺贈寄付の方法として代表的なものは以下3つです。
- 遺言書
- 遺言代用信託(信託銀行等への信託)
- 家族信託
それぞれについて解説していきます。
1.遺言書
遺言書を作成し、遺贈する財産やその額、寄付先を指定しておく方法です。
遺言書での遺贈寄付を実現するには、法的に有効な遺言書を作成する必要があります。
法律で定められた遺言の方式には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあり、最も確実性が高いとされているのが「公正証書遺言」です。
公正証書遺言は、証人2名以上の立会いのもと、本人(遺言者)が公証人へ遺言の趣旨を口頭で述べ、公証人が作成する遺言です。
公証人が厳格な本人確認や意思確認のもと作成するため、法的な有効性を保てます。
また、遺言書の原本は公証役場に保管されるため、遺言書が破棄されたり改ざんされたりするリスクもありません。
参考: 2 遺言|日本公証人連合会
公正証書だけでなく、自筆証書、秘密証書でも有効な遺言の作成は可能ですが、法的な知識が必要となるため、専門家へ相談することがおすすめです。
2.遺言代用信託(信託銀行等への信託)
遺贈寄付を実現するには、信託銀行等で提供されている「遺言代用信託」を活用するのも一つの手段です。
遺言代用信託は、本人が自身の財産を信託銀行等へ信託しておき、本人が亡くなった後に、あらかじめ指定しておいた寄付先へ、信託した財産が寄付される仕組みです。
金融機関によって対応できる寄付先やサービスの内容が異なる可能性があるため、詳しくはご利用予定の金融機関へ相談することをおすすめします。
3.家族信託
「家族信託」の活用によって、遺贈寄付を実現することも可能です。
家族信託は、高齢の親の財産管理を信頼できる家族(子など)に託しておく仕組みです。
※財産を託す人=委託者(親)、託される人=受託者(子など)
あらかじめ財産の管理権を家族へ託し、本人が認知症などで判断能力が低下したときに起こる可能性がある「資産凍結」を防ぐことが大きな目的です。
家族信託の「遺言代用機能」
一方で、家族信託では本人(親)が亡くなった後 「信託していた財産を誰に承継するのか」について定めることもできます。
つまり、信託財産の承継先として、希望する寄付先と寄付の内容(財産や金額の特定)を指定しておくことで、遺贈寄付が実現するということです。
また、信託財産の承継先には、子や配偶者などの親族を指定することももちろん可能です(一般的には、こちらのケースが多くみられます)。
家族信託では「受託者」が遺贈寄付を行う
家族信託において、本人(委託者)が亡くなった後に、信託財産を受け取る人のことを「帰属権利者」といいます。
この「帰属権利者」として、寄付をしたい先の団体や法人を指定しておくことで遺贈寄付が可能です。
家族信託で遺贈寄付について定めた場合は、財産の管理や寄付先へ寄付をする手続きは、財産管理を託された「受託者(主に子)」が行います。
本人が亡くなった後に、本人の希望を実現させるためにも、家族信託の組成時から専門知識をもとに、適切に規定しておく必要があります。
不動産や有価証券等を換金して遺贈寄付する場合、売却や登記などの複雑な手続きも発生しますので、信託組成時から専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
また、不動産のまま遺贈寄付することを希望する場合は、活用できるかどうかや管理のリスクによって、寄付が実現しない可能性もあります。
よって、事前に寄付先の団体へ確認しておくことが重要です。
遺言書や家族信託で遺贈寄付する場合の3つの注意点
遺言や家族信託で遺贈寄付する場合に考えられる注意点は以下のとおりです。
- 遺留分の問題を考慮する
- 寄付する遺産は具体的に指定する
注意点1.遺留分の問題を考慮する
遺贈寄付について定めておく場合は、遺留分の侵害がないよう、注意しなければなりません。
兄弟姉妹以外の法定相続人には、相続財産の価額に対して一定の割合をかけた額(遺留分)を受け取る権利があるためです。
各相続人の遺留分
- 相続人が配偶者や子のみの場合:財産の価額の2分の1の額
- 相続人が直系尊属(親など)のみである場合:財産の価額の3分の1の額
- 相続人が兄弟姉妹のみの場合:遺留分なし
上記で算出された財産の額を、それぞれの法定相続分で按分した額が、各相続人の遺留分となります。
例えば、相続人に配偶者と子がいる場合は、以下のようになります。
- 配偶者の遺留分
=財産の価額×1/2(遺留分の割合)×1/2(法定相続分の割合)
=財産の価額×1/4 - 子の遺留分
=財産の価額×1/2(遺留分の割合)×1/2(法定相続分の割合)
=財産の価額×1/4
よって、遺贈寄付を希望する場合、配偶者と子の遺留分が確保できるように、寄付する財産の額を決める必要があります。
遺留分侵害の可能性がある遺贈寄付は、寄付先から拒否されるケースもあります。
手続きをスムーズに進められるよう、専門家に相談するのもおすすめです。
注意点2.寄付する遺産は具体的に指定する
寄付する財産の内容や額を第三者が特定できるよう、具体的に記載する必要があります。
遺贈の方法には「全体の何割」などの割合を指定する方法(包括遺贈)と、寄付する財産の対象や額を具体的に特定する方法(特定遺贈)があります。
団体によっては、包括遺贈を受け付けていないケースもあるため、事前に確認をしておくと安心です。
遺贈寄付をご検討の方は専門家へ相談を
遺贈寄付を実現するには、遺言書や家族信託など、複数の選択肢があります。
また、遺贈寄付を検討する場合、寄付先ごとに条件等が定められているケースがあるため
人生の最後に希望を叶える方法にもなりますので、遺贈寄付をご検討の際は相続や生前対策の専門家にぜひご相談ください。
遺贈寄付を検討している方へ

遺贈寄付を検討している場合は、本人の希望が実現できるよう、事前に対策をしておきましょう。
また、相続や財産の管理を見据えた対策として、考えるべきことは多くあります。
本人の判断能力が亡くなった場合の財産管理はどうするか?資産凍結のリスクはないか?など、問題点を明確にし、適切な制度を使って対策することが重要です。
「おやとこ」では、家族信託や相続、法律に精通した専門家がご本人やご家族の相談に対応させていただきます。
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