身元保証サービスのご利用を検討される中で、「もしもトラブルになったらどうしよう」「どの会社を選べば信頼できるのかしら」と、ご不安に感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、ご高齢の方をサポートする様々な事業について、年間100件ほどの消費生活に関するご相談が寄せられています。
参考: 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査の結果(概要)(p.2)
実際にサービスをご利用になる際には、事業者の信頼性や契約内容の見極めが欠かせません。
一方で、身元保証サービスと一口に言っても、それぞれの会社でプランの内容や費用は様々で、一般の方にはどれをどう比較したら良いのか、判断が難しいのが実情です。
そこでこの記事では、実際にあったトラブルの例をご紹介しながら、安心してサービスを受けるために知っておきたい大切なことや、具体的なトラブルの事例に加え、安心してサービスを受けるために押さえておきたいチェックポイントや信頼できる会社の選び方について、分かりやすくご説明します。
要約
- 身元保証サービスのトラブルは、実際に複数報告されている
- トラブルに巻き込まれないためには、信頼できる事業者の見極めが不可欠
- 契約内容、費用の内訳、預託金の取扱い、解約時の返金方針について確認しておく
- 利用者の判断能力が不十分になった時の成年後見制度の活用についても明確にしておくべき
- 「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」に準拠しているかどうかが重要
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目次
身元保証人代行サービスとは
身元保証人代行サービスとは、賃貸契約を結んだり、病院に入院したり、高齢者施設に入る時に必要となる「身元保証人」を、専門の会社が代わりになってくれるサービスのことです 。
身元保証人は、ご本人のことを保証し、もしもの時にご本人の代わりに責任を負う方のことです。
入院や施設の手続きの際に必要になることが多く、多くの場合、ご親族がこの役割を担っています。
一方で、特にご高齢の方のなかには「頼れる親族がいない」「家族が遠く海外に住んでいる」「家族に心配をかけたくない」といったご事情で、親族に身元保証人をお願いするのが難しい方も多くいらっしゃいます。
そんな時、身元保証サービスは、必要な介護や医療を受けて、安心して暮らすために、とても役立つサービスといえるでしょう。
身元保証サービスについて、もっと詳しく知りたい方や、どこに相談したら良いか迷っている方は、以下の記事で詳しくご説明していますので、ぜひご覧になってみてください。
身元保証サービスとは?必要な費用・実際にあったトラブルを解説
入院や介護施設に入所の際、身元保証人を求められるケースが多いですが、身寄りのない高齢者の方は身元保証サービスなどの利用が必要です。しかし、身元保証サービスに関する制度や法律は定められておらず、その見極めが難しい状況です。そこで、身元保証サービスを選ぶポイントやサービス内容について詳しく解説します。
身元保証人代行のサービス内容
身元保証人代行サービスでは、事業者が「身元保証人」となり、ご本人のために色々な支援をしてくれます。
具体的には、必要な手続きのお手伝いや、緊急の時の連絡先になってくれたり、もしもの時に入院費や施設の費用が払えなくなった場合の保証なども行ってくれます(サービス内容は会社によって違うことがあります)。
- 医療施設への入院の際の保証
- 介護施設等への入所の際の保証
- 入院・入所、退院・退所時の手続の代行
- 死亡又は退去時の身柄の引取り
- 緊急連絡先の指定の受託及び緊急時の対応
事業者によってはこれ以外にも、お買い物や病院への付き添いといった日々の生活のお手伝い、大切なお金の管理、そして、もしもの時の葬儀や手続きに関する死後事務など、多様なサービスを提供しているところもあります。
※総務省のガイドラインでは、これらのサービスを行う事業者を「高齢者等終身サポート事業者」と呼んでいます。
身寄りのない方にとっては、本当に心強いサービスですが、もしもトラブルに巻き込まれてしまうと、お金の面でも、気持ちの面でも、大きなご負担になる心配があります。
そこで、ここからは、実際に身元保証サービスで起こったトラブルの例を見ていきましょう。
事前にどんなトラブルがあるかを知っておくことで、そういった心配を避けることにつながりますので、ぜひ最後までご確認ください。
【実際にあった】身元保証人代行サービスでのトラブル
実際にあった身元保証人代行サービスでのトラブル事例を紹介します。
身元保証人代行サービスを含む高齢者等終身サポート事業におけるトラブル事例
- 親族がサービスについて把握しておらず、契約解除を要求された
- 契約書におけるサービス内容の記載が曖昧である
- 契約書に利用者が損をするおそれがある記載があった
- 利用者本人の判断力が低下し、十分な監督ができない状態でサービスが提供されていた
- 解約時の入会金や契約金の返金について把握していなかった
- 本人が把握していないまま、財産の遺贈・寄附について定められていた
※身元保証人代行以外にも、日常生活支援や死後事務サービスを含む高齢者等終身サポート事業に関して報告されたトラブルを含みます。
親族がサービスについて把握しておらず、契約解除を要求した
ご本人様とご親族の関係が疎遠になっていたとしても、そのご親族が、ご本人が身元保証サービスを利用することについて、ご納得いただけず、契約の解除を申し入れられたという例が実際にありました。
利用者とこれまで疎遠であった親族が、利用者と連絡を取り合った際に、利用者が身元保証に関する契約をしたことを知り、「自分を差し置いて契約するのか」と事務所に現れて、契約の解除を申し入れ、そのまま解除に至ったことがある。
利用者の大半は親族と疎遠になっており、事業者側から契約した旨の連絡を行うこと自体がトラブルを誘発するおそれがあり、対応に苦慮している。(A事業者)
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書|総務省行政評価局 (p.37)
身元保証サービスは、たとえご親族と疎遠であったとしても、ご本人の意思で契約し、サービスを受けることができます。
しかし、先ほどの例のように、疎遠だったご親族から「なぜ自分に話もなく契約したのか」「相続人である自分に説明がないのはおかしい」と主張され、トラブルになる可能性も全くないとはいえません。
このような事態を避けるためには、サービスをご利用になる前にご親族の了解を得るのが望ましいのですが、疎遠な親族との連絡を希望しない方もいます。
「親族がいても、連絡したくない」という場合には、残念ながら、上記のようなリスクを完全に避けることは難しいのが現状です。
そのため、事前に専門家の方とよく相談された上で、適切な対策を考えることが大切になります。
契約書におけるサービス内容の記載が曖昧である
提供すると言われていたサービスの内容が、大切な契約書にきちんと書かれていなかったという事例もみられています。
このような場合「あの時はこう言ったはず」「いや、そんなことは言っていない」といった、「言った・言わない」の水掛け論になってしまう心配があります。
例えば、身元保証サービスを行うと言っていたにもかかわらず、契約書にはそのことが全く書かれていなかった、という事例がありました。
A事業者の契約書は、「財産管理と任意後見に対応する契約書」と「死後事務に対応する契約書」の2種類のみである。
同事業者は、身元保証(身元引受・連帯保証)を引き受ける条件は、原則、財産管理委任契約・任意後見契約・死後事務委任契約の3契約を締結している利用者であるとしているが、上記2種類の契約書には身元保証に関する規定が置かれておらず、身元保証に関する契約を締結しているのか明確になっていない。
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書|総務省行政評価局(p.40)
このように、提供されるサービスの内容が契約書にきちんと書かれていないと、「お金を払ったのに、思っていたサービスが受けられなかった」ということにもなりかねません。
契約書に内容がはっきりと書かれていることはもちろん、大切なことを説明する書類(重要事項説明書)をきちんと作成し、説明することも必要とされています。
これは、信頼できる会社を選ぶ上での大切なポイントです。
(信頼できる業者の選び方は後段で詳しく解説します。)
利用者本人の判断力が低下し、十分な監督ができない状態でサービスが提供されていた
ご契約の途中で、ご本人様の判断能力が十分でなくなってしまった場合、会社がきちんと仕事をしているか確認したり、もし問題があっても気づいたりすることが難しくなってしまいます。
これは、ご本人様のお金のことなどを預かっている会社が、まるで「好き勝手」できてしまうような状態になってしまう心配があるということです。
以下はそのような状況で会社がお金などの管理を行い、ご本人様の利益が損なわれる可能性があった例です。
利用者が任意後見を含む身元保証に関する契約を事業者と締結していたが、当該利用者の判断能力が不十分になった後も、事業者により任意後見監督人の選任の申立てがなされず、事業者が引き続き当該利用者の預金の管理等を行っていた。
当地域包括支援センターは、この状況を懸念し、成年後見センターに当該利用者の現状を説明・相談し、当該利用者に成年後見制度の利用を案内したが、断られてしまった。(A地域包括支援センター)
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書|総務省行政評価局(p.51)
身元保証サービスや日々の生活を支えるサービスは、ご自身の意思で会社に「お任せ」している状態です。
これを法律では「委任」と呼びます。
この「委任」は法律に基づいた大切な約束事なのですが、もしご本人の判断能力が十分でなくなってしまうと、契約の内容を理解したり、会社がきちんとお仕事をしているか確認したりすることが難しくなり、ご本人にとって不利益なことが起こる心配があります。
そこで、ご本人の権利を守り、法的に支えるために「成年後見制度」という仕組みを利用することが必要です。
よって、ご本人の判断能力が低下した時に、成年後見制度をどう利用するのかがはっきりしていることも、信頼できる会社を選ぶ上での大切なポイントとなります。
入会金や契約金の返金について把握していなかった
サービス解約時の返金について利用者が把握しておらず、トラブルになった事例もあります。
利用者から解約の希望があった際に、入会金も含めて契約の際に支払った費用の全額を返金してほしいと申し入れがあった。
しかし、契約書上、入会金を返金しないこととしているため、その旨を利用者に説明したが、理解してもらえなかった。消費生活センターや市役所に相談し、改めて利用者に面談して説明したい旨を連絡したが、面談に応じてもらえないままとなっている。(A事業者)
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書|総務省行政評価局(p.65)
ご契約の途中で、ご自身の状況や気持ちが変わって、解約したいと思うことは十分に考えられます。
そんな時に備えて、お金がどのくらい戻ってくるのか、事前に確認しておくことが大切です。
解約する際、すでにお支払いになった費用がどのくらい返金されるのかについては、ご契約の前にきちんと説明されているべきだとされています。
これは、後述の高齢者等終身サポート事業者ガイドラインでも定められています。
また、事業者によっては、解約時に「解約料(違約金)」を定めているケースもありますが、その金額や、なぜその金額になるのかについても、きちんと説明してもらうようにしましょう。
本人が把握していないまま財産の遺贈・寄附について定められていた
ご高齢の方をサポートする会社で、「ご本人様の全ての財産を、亡くなった後にその会社へ渡す」という内容の遺言書が、ご本人の意思とは違う形で作成されていた、という事例がありました。
これはつまりご本人が知らない間に、亡くなった後のご遺産が、利用していた会社に渡るように決められてしまっていたということです。
特定の親族に遺産を相続させたいという意思があった高齢者(従前、事業者と契約を締結)について、当該高齢者が入所する施設から、「事業者の手配により作成された当該高齢者の遺言書を公証役場にて確認したところ、遺産は全て事業者に遺贈する記載になっていた」との相談があった。
当市区町村は、上記施設からの相談を受けて弁護士に相談し、弁護士が事業者に対して、遺言書が高齢者の意思に反する内容になっているため修正するよう伝えたが、修正後も事業者に全財産を遺贈する記載になっていた。
その後、高齢者の判断能力が不十分になってきたため、弁護士は、成年後見人(補助人)を付け、事業者との契約を解除するとともに、当該高齢者の意思に沿った内容の遺言に修正した。(A市区町村)
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書|総務省行政評価局(p.46)
身元保証サービスや日々の生活を支えるお手伝い、そしてもしもの時の死後事務など、全てのサービスは、あくまで「ご本人の意思を大切にすること」が一番の基本とされています。
そのため、「自分の知らないところで遺言書が作られていた」といったことは、決してあってはならないことです。
このようなトラブルに巻き込まれないように、次の章からご説明する、トラブルを避けるための大切なチェックポイントや、信頼できる会社の選び方を、ぜひしっかりと確認しておくことが重要です。
トラブルを回避のための契約前チェックポイント
身元保証人代行サービス(死後事務や日常生活支援も含む)において、トラブルを回避し、安心安全なサービスを利用するためにチェックすべきポイントを解説します。
トラブル回避のための10のチェックポイント
- サービス内容や費用の詳細項目
- 費用の支払い方法
- 預託金の取り扱い
- 履行状況の記録や報告体制
- 親族や関係者の確認
- 利用者自身の判断能力が低下した際の対応
- 死後事務のサービス提供範囲
- 契約内容の変更や解約における取り決め・返金について
- 遺贈寄付の取り扱い方針
- 相談窓口の設置
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.サービス内容や費用の詳細項目
サービスの内容や、会社が行う仕事の項目、そしてそれぞれにかかる費用が、はっきりと分かりやすくされている必要があります。
口頭でどれだけ説明を受け、納得したとしても、書面で残っていなければ、「あの時はこう言った」「いや、そんなことは言っていない」といった水掛け論になってしまう心配があるからです。
「お金を払ったのに、必要なサービスを受けられなかった」「余計なお金がかかってしまった」など、ご本人様にとって損になってしまう可能性もあります。
具体的には、以下のような内容を明確にしておきましょう。
- 「入会金」「預託金」「財産管理手数料」など、費用の目的が区分されているか
- サービス利用の都度支払う費用は、その旨が明示されているか「緊急駆けつけ時の費用」など)
- サービスの利用場面や費用の内訳が明示されているか
ご高齢の方向けのサービス、特に身元保証サービスは、事業者によってサービスの内容も費用も様々で、その全てを理解するのは簡単ではないかもしれません。
しかし、このサービスは、ご自身の「こうしたい」「こうありたい」というお気持ちが一番大切にされるべきものです。
そのため、ご自身の想いや希望をよく理解してくれて、必要なサービスとそれにかかる費用をはっきりと示してくれる会社を選ぶことが大切です。
2.費用の支払い方法
費用の支払い方(いつ、いくら、どのように支払うのかなど)についても、具体的に確認しておくことが大切です。
もし、ご自身の予算や支払い時期について間違って認識していると、サービスの費用が払えなくなってしまう心配があるからです。
たとえば「契約する時に一度だけ払うものだと思っていたら、実は毎月費用がかかるものだった」と勘違いしてしまい、予算が大きく膨らんで家計が苦しくなる、といった心配も考えられます。
特に確認しておきたい内容の具体例は、以下のとおりです。
- 契約時に支払う費用
- サービス利用の都度支払う費用
- 一定時期に利用分をまとめて支払う費用
- 月額で支払う費用
- 預託金から差し引かれる費用(差し引かれる費用の目的、預託金が不足した場合の追加金額や時期も把握しておくことが望ましい)
契約を結んでしまうと、それは「これらの費用を支払ってサービスを受けます」というご自身の意思表示になります。
そのため、必ず契約する前に、しっかりと確認しておくことがとても大切です。
3.預託金の取り扱い
預託金とは、日々の生活のお手伝いや、もしもの時の死後事務などのサービスを受けるために、自身が前もって会社に預けておくお金のことです。
この預託金は、言ってみれば「自分のためのお金」を事業者に預けている状態にあるため、取り扱いについては慎重に確認する必要があります。
具体的には、以下の内容が重要です。
- 「利用者のために使うお金」として、事業者自身のお金とは明確に区分して取り扱われるかどうか(信託口座や供託を利用して管理・保全されていることが望ましい)
- 利用者に対して定期的に管理状況の報告があるか
- 契約終了後の預託金の返還方針や金額について明確にされているか
実際に、預託金が「会社の金庫で現金として管理されている」「会社の代表者の個人の口座で管理されている」など、後々トラブルにつながりかねない方法で管理されている例も確認されています。
参考: 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書|総務省行政評価局(p.55)
ご自身の大切な預託金が、きちんと安全に守られるような仕組みになっているか、確認することがとても大切です。
4.履行状況・財産管理の記録や報告体制
事業者にお願いした身元保証や様々な手続き、そしてお支払いなどの業務については、常に「今どうなっているか」が記録され、いつでも報告できる状態になっている必要があります。
なぜなら、事業者には、ご本人様から求めがあれば、お任せいただいた業務が今どんな状況なのかを報告する義務があるからです。
国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」という指針でも、サービスの実施状況や、ご本人様の通帳や現金などの管理状況について、記録を作り、大切に保存し、報告すべきだと定められています。
ご自身が依頼している業務や、預けているお金に関して、全く分からない部分がない状態が、一番安心できる形だといえるでしょう。
5.親族や関係者の確認
トラブル事例の章でもお話ししたように、たとえご本人と会社の間で契約が成立しても、疎遠になっているご親族がその契約を良く思わず、後からトラブルになる心配があります。
そのため、ご自身がサービスを受けることについて、できる限りご親族や相続人の方々へ説明しておくことが望ましいでしょう。
しかし、「連絡を取りたくない」「連絡が取れる状況にない」といったご事情がある方もいらっしゃるのは事実 です。
のような場合でも、トラブルが起こる可能性が全くないわけではないということを理解し、他の方法で対策をしておいたり、万が一トラブルになった場合の対応策を考えておいたりする必要があります。
また、もしもかかりつけのお医者さんやケアマネージャーさんなど、すでに利用されているサービスがある場合は、事前に担当の方へ伝えておくことをお勧めします。
身元保証や入院・施設入所の手続きなどで、協力が必要になる可能性があるためです。
6.利用者自身の判断能力が低下した際の対応
ご本人様の判断能力が十分でなくなった場合、その方の権利を守るための仕組みが必要になります。
なぜなら、ご自身の判断能力が十分でなくなると、意思の疎通が難しくなったり、会社がきちんと仕事をしているか確認できなくなったりと、ご本人様の利益が損なわれる心配があるためです。
その代表的な対策として、「成年後見制度」というものがあります。
成年後見制度は、判断能力が十分でなくなった方が、毎日の生活や契約といったことを安全に行えるように、後見人が支えてくれる制度です。
少し専門的なお話になりますが、身元保証サービスをご利用の方が判断能力が十分でなくなった場合、大きく分けて次の2つのパターンで成年後見制度を利用することが考えられます。
- 事前に任意後見契約を締結している場合事前に任意後見契約を締結している場合
→利用者の判断能力が不十分になったら、裁判所に申し立てを行い、任意後見契約の効力を発生させる - 事前に任意後見契約を締結していない場合
事前に任意後見契約を締結していない場合 →法定後見制度を利用し、成年後見人(または保佐人、補助人)を立てる
参考: 高齢者等終身サポート事業ガイドライン(p.31~34)
どちらの成年後見制度を利用するにしても、ご自身の判断能力が十分なうちに、ご本人がこの制度についてしっかりと理解しておくことが大切です。
成年後見制度へスムーズに移行できるよう、制度の大切さや内容、そしてかかる費用についても丁寧に説明してくれる会社を選びましょう。
成年後見制度についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご確認ください。
【保存版】成年後見制度をわかりやすく解説!5つの注意点と必要な費用
成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、認知症や知的障害などで判断能力が低下した人の契約や財産管理のサポートを行う制度です。「成年後見人」は家庭裁判所によって選任され、本人に代わって様々な手続きを行います。この記事では成年後見制度についてわかりやすく説明し、同時に最近注目を浴びている家族信託との比較についても解説します。
7.死後事務のサービス提供範囲と報告方法
死後事務は、お葬式の手配や役所への届け出、色々な契約の解約など、広範囲に渡るため、どのような業務を会社にお願いするのか、具体的な内容をはっきりとさせておくことが重要です。
電気、ガス、水道といった公共料金や携帯電話の解約などについては、場合によっては会社が代わりに対応できない可能性もあります。
事前に対応できるのか、どのように手続きをするのかを会社に確認しておく(または確認してもらう)ようにしましょう。
また、死後事務がきちんと行われたかどうか、その結果についても、適切に報告してくれるかを確かめ、公平さが保たれているか確認することが重要です。
なぜなら、死後事務はご本人が亡くなった後に行われる業務であり、ご自身でその状況を確認することができないためです。
8.契約内容の変更や解約における取り決め・返金について
身元保証や死後事務など、ご高齢の方向けのサービスは、契約が長い期間にわたることが多いので、途中で契約の内容を変えたり、解約したりする可能性も十分に考えられます。
よって、契約を変える時の方法や、解約する時の「返金」や「解約料(違約金)」については、はっきりと確認しておくことが大切です。
- 契約内容の変更方法や解約方法が明確で、事前または求めた際に丁寧に説明してくれるか
- 解約する場合、すでに支払ったお金や預託金はどの範囲で返金されるか(業務未履行分、日割り計算の有無など)
- 解約料(違約金)は発生しないか、発生する場合の金額は適切か
大きな損失をかかえないためにも、返金についての確認は十分にしておきましょう。
9.遺贈寄付の取り扱い方針(本人の意思に反する遺贈寄付が定められていないか)
遺贈寄付について、ご本人様の意思に反する内容が含まれていないか確認しておくことが重要です。
なぜなら、ご自身の財産を特定の誰かに譲り渡す「遺贈(いぞう)」や「死因贈与(しいんぞうよ)」、あるいは「寄付」といったことは、全てご本人の意思に基づいて行われるべきであるためです。
ご本人の意思に基づかない形で遺贈寄付を決めたり、遺贈寄付を条件としたサービスプランを作ったりすることは、国の「高齢者等終身サポートガイドライン」という指針で禁じられています。
また、もしご自身が「会社に財産を贈りたい」という意思を示した場合でも、事業者には「財産を譲る先として別の選択肢も提案する」「いつでも贈与の意思を取り消せるようにする」といった対応が求められています。
10.相談窓口の設置
利用者が事業者にいつでも相談できる(連絡が取れる)窓口が用意されているかも大切です。
身寄りのない方や一人暮らしのご高齢の方は、お金のこと、持病のこと、病院や施設のこと、相続、そしてもしもの時のことなど、急に不安や悩みが生まれることもあるでしょう。
ただ業務の連絡をするだけでなく、利用者の気持ちを大切にした、丁寧なサポートをしてくれる体制が整っているかどうかが、安心してサービスを受ける上で非常に重要です。
信頼できる身元保証人代行サービスの選び方
安心安全の身元保証人代行サービスを利用するには、以下「すべて」のポイントを満たしている業者を選ぶことをおすすめします。
信頼できる身元保証人代行サービスの選び方
- トラブル回避のチェックポイントをクリアしている
- HP等で適切な情報開示を行なっている
- 利用者の現状、意向、懸念点などを深く理解し、自己決定を尊重してくれる
- 重要事項説明書を用いた契約内容の明瞭な説明がある
- 常に連絡・相談ができ、対応が丁寧である
- 医療・介護・自治体などの関係者と連携している
- 高齢者等終身サポート事業者ガイドラインに準拠している
それぞれのポイントについて、解説していきます。
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1.トラブル回避のチェックポイントが明確である
まずは、前章で詳細に解説した「トラブル回避のチェックポイント」を全て明確にし、契約前に丁寧に説明してくれることが重要です。
一覧でおさらいしておきましょう。
チェックポイント
- サービス内容や費用の詳細項目
- 費用の支払い方法
- 預託金の取り扱い
- 履行状況の記録や報告体制
- 親族や関係者の確認
- 利用者自身の判断能力が低下した際の対応
- 死後事務のサービス提供範囲
- 契約内容の変更や解約における取り決め・返金について
- 遺贈寄付の取り扱い方針
- 相談窓口の設置
上記の中には、はっきりと決められていないことで、実際にトラブルが報告されているものもあります。
また、口頭での確認だけでは大きな心配が残りますので、契約書や重要事項説明書など、「書面」で内容が残されていることが重要です。
2.HP等で適切な情報開示を行なっている
多くの会社が、身元保証を含め、ご高齢の方を支援するサービスを提供していますので、「そもそも、どこに問い合わせたら良いのかしら」と迷ってしまう方も多いでしょう。
そんな時は、事業者のホームページやサービスの説明資料で、以下の項目が公開されているか確認してみましょう。
- 事業者の基本情報(組織、人員体制等)
- 提供しているサービス内容や費用
- 費用の支払い方法
- サービスを利用できない者
- 提供しているサービスの履行状況を確認する方法
- 契約変更や解約の事由・手続等
- 契約変更や解約時の返金に関する取扱い
- 預託金の管理方法等
- 寄附や遺贈に関する取扱方針
- 個人情報の取扱方針と管理体制
- 相談対応体制・連絡先
また、上記の情報がご自身で見つけられない場合、電話やメールでの問い合わせ、資料請求などをしてみましょう。
その際に、会社が丁寧に、親身になって対応してくれるかどうかも、信頼できる会社を見つける大切なポイントになります。
3.利用者の現状、意向、懸念点などを深く理解し、自己決定を尊重してくれる
国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」には、サービスを提供する上で「ご本人の尊厳を守り、ご自身で決めることを大切にすることが重要」と記載されています。
そのためにも、定期的に顔を合わせてお話ししたり、必要な情報を丁寧に教えてくれたりして、その上でサービスを提案できる会社が一番良いでしょう。
サービスを提供する上で、無理に勧誘したり、ご本人の意思を無視したりするようなことは、決してあってはなりません。
4.重要事項説明書を用いた契約内容の明瞭な説明がある
契約書だけでなく、「重要事項説明書」をきちんと作成し、それを見ながら、サービスや契約の内容、費用について丁寧に説明してくれる会社を選びましょう 。
契約書だけでは、ご高齢の方が理解しにくい専門的な言葉や表現が多く、内容を十分に理解できないまま契約してしまう心配があるからです。
重要事項説明書は、契約の中でも特に大切な点を分かりやすく書いた書類です。
低限、以下の項目が書かれているべきだとされています。
- 契約者に提供するサービスの内容や費用、費用の支払い方法(包括的な記載ではなく、入会金、預託金などが区分され、サービスの提供場面や費用を支払うタイミングも明記されていること)
- 契約するサービスの解除方法・事由や契約変更・解約時の返金の取扱い
参考: 高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(チェックリスト)
重要事項説明書は「作る」だけでなく、その内容を丁寧に説明し、利用者へ渡してくれることが重要です。
この大切な説明は契約を結ぶ前に行われますので、その時点で何か不安なことがあれば、どんな小さなことでも会社に質問して、すべてをはっきりさせておきましょう。
もし、「この会社は適切ではないな」と感じたら、その時点(契約を結ぶ前)で、契約しないという選択も可能です。
5.常に連絡・相談ができ、対応が丁寧である
身元保証サービスは長いお付き合いになりますので、会社とどれだけ信頼し合える関係を築き、気持ちよく連絡を取り合えるかも大切です。
身寄りのない方や、近くに相談できるご親族がいない方は、将来のことや医療・介護のことなど、漠然とした不安が生まれたり、考えが変わったりすることもあるでしょう。
事業者はいつでもご本人の意思を大切にし、その尊厳を守るべきですから、そのようなご本人の気持ちにいつでも寄り添ってくれる業者を選ぶのが一番です。
6.医療・介護・自治体などの関係者と連携している
会社が、病院や介護施設、ケアマネージャーさん、役所などと、スムーズに協力してくれるかどうかも大切なポイントです。
身元保証のお手伝いや、日々の生活の支援については、サービスの会社だけの力では解決できないこともあるからです。
例えば、ご自身が入院することになった場合、身元保証における緊急連絡先として会社が引き受けるのであれば、入院先の病院に対して「会社自身のこと」や「ご自身のサービス利用」について説明し、協力関係を築いておくべきでしょう。
他にも、介護施設への入所や退所、成年後見制度の利用、介護保険サービスの利用などの際には、関係する機関との連携が欠かせません。
かかりつけのお医者さんや、すでに利用している介護サービスについて、ご自身が伝える前に把握しようと努めてくれる姿勢があることが理想的です。
7.高齢者等終身サポート事業者ガイドラインに準拠している
「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は、今年の令和6年6月に国が発表した大切な指針です。
このガイドラインには、ご自身が安心して安全にサービスを利用できるよう、会社を選ぶための判断基準がはっきりと示されています。
このガイドラインに沿ってサービスを提供しているかどうかが、信頼できる会社かどうかを見極める上でとても重要な判断基準となります。
また、ご自身が会社を見極める際のポイントをまとめた「チェックリスト」も載っていますので、ぜひご活用ください。
→チェックリストは こちら
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「おひさぽ」は、国が公表している「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」のチェックリストを全て満たしており、安心してご利用いただけます。
私たちは、ご利用者様の希望を一番大切に考え、一緒に相談しながら、あなたにぴったりの選択ができるようお手伝いさせていただきます。
「まずは話だけ聞いてみたい」という方も、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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トラブルが発生した場合の対処法
万が一、トラブルに巻き込まれてしまった場合は、以下の方法で対処することをおすすめします。
トラブルが発生した場合の対処法
- まずはサービス提供事業者へ連絡
- 消費生活センターに相談する
- 法律の専門家に相談する(弁護士など)
それぞれみていきましょう。
まずはサービス提供事業者へ連絡
まずは、ご契約されている会社に連絡を取り、問題の解決を目指すことから始めましょう。
契約の内容と見比べながら、何が問題なのかをはっきりさせ、書面で対応をお願いすれば、後々の証拠としても役立てることができます。
また、話し合いの際はやり取りの記録を残しておくようにしましょう。もし会社の対応が十分でないと感じたら、次の段階に進むことも検討しましょう。
消費生活センターに相談する
もし、会社との話し合いがうまくいかない場合は、「消費生活センター」に相談することを考えてみましょう。
消費生活センターは、お住まいの地域の役所が設けている公的な機関ですので、法律に基づいて適切なアドバイスをくれたり、会社との間に入ってくれたりします。
また、同じような相談の例をもとに、解決策を教えてもらえる可能性もあります。
以下のホームページから電話番号を確認して、相談することができますので、ぜひ活用してみてください。
参考: 全国の消費生活センター等|独立行政法人 国民生活センター
法律の専門家(弁護士など)に相談する
もし事態が深刻な場合は、弁護士などの専門家に相談することも考えてみましょう。
法律の専門家は、ご契約のどんな点が問題になっているのかをはっきりと指摘し、適切な解決方法を教えてくれます。
また、もし裁判を考えるような場合でも、事前に弁護士に相談することで、どれくらいの費用がかかるのか、どんな心配があるのかなどを、あらかじめ知ることができます。
特に、もし大きな被害を受けてしまった場合は、できるだけ早く専門家の方への相談がおすすめです。
まとめ
身元保証サービスは、保証人を見つけるのが難しい方にとって、とても便利な仕組みです。
その一方で、ご契約の内容をよく理解せずに利用すると、思いがけないトラブルに巻き込まれてしまう心配もあります。
事業者を選ぶ際には、ご契約前の説明が丁寧かどうか、契約書の内容、そして費用がはっきりと分かりやすく示されているかをしっかりと確認し、信頼できるサービスかどうかを慎重に見極めることが大切です。
そのための大切な判断基準として、今年の令和6年には、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が発表されました。
まずは、このガイドラインに全て沿ってサービスを提供している会社を選ぶことが、一番安心で安全だといえるでしょう。
おひとりでいることの不安を取り除き、あなたらしい安心できる毎日を送るためにも、もし迷った時には、ぜひこの記事やガイドラインのチェックリストを確認して、安全な会社選びに役立ててください。