一人暮らしや身寄りのない方が入院する際には、入院保証人を求められるケースがあります。
しかし、ご家族が身近にいなかったり身寄りがなかったりする場合、保証人を見つけるのは困難です。
入院保証人の代行を検討するとき、「入院保証人は誰でもなれるのか?どのような役割が求められるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、入院保証人の種類や代行する際に担う役割について解説します。
役割を知ることで、検討・依頼する際の選択肢が絞りやすくなります。
さらに、入院保証人の代行を利用する際の注意点やトラブル事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
要約
- 入院保証人は身元保証人と連帯保証人の2種類に分けられる場合がある
- 入院保証人の代行は、手続きや退院支援など多様な役割を求められる場合がある
- 一部病院では、入院保証人の確保を支援するために連帯保証人代行制度を導入している
- 入院保証人の代行を検討する際は、サービス内容や費用などの確認が重要となる
- 入院保証人の代行は、支払い保証などの役割を果たせる専門家を選ぶと良い
目次
入院保証人の種類とは?
入院保証人には、以下のような種類があります。
- 身元保証人(身元引受人)
- 連帯保証人
病院によっては、上記の役割を担う2名の保証人が求められるケースもあります。
そのため、入院保証人にどのようなサポートを求められるのか、認識しておくことが重要です。
それぞれの役割について、詳しく解説します。
身元保証人(身元引受人)
身元保証人とは、利用者の社会的な役割を証明する人物のこと です。
病院では、利用者を引き受ける先として「身元引受人」とも呼んでいます。
役割は病院ごとに異なり、手続き代行や緊急連絡先の就任だけでなく、入院費の保証などの幅広い支援を行う立場になる場合もあるでしょう。
基本的に、身元保証人がいなくても病院への入院はできますが、不在のため手続きがスムーズにいかないなどの問題が発生する可能性があります。
また、病院によっては、身寄りがない方への対応として身元保証人を求めるケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
身元保証人がいないために生じるリスクや具体的な役割については、後述の「入院保証人を代行する際に求められる役割」を参考にしてください。
連帯保証人
連帯保証人とは、利用者が支払いの責任を果たせない場合に、債務を返済する役割を担う人物 です。
利用者が病院の費用を払えないときは、連帯保証人が代わりに支払う必要があります。
一般的に、連帯保証人になれるのは以下のような方々です。
- 親や兄弟姉妹などの親族
- 利用者とは別に継続的な収入がある方
- 緊急時、確実に連絡が取れる方 など
基本的に連帯保証人の責任は保証人よりも重く、利用者が費用を払えない場合に支払い義務が生じます。
参考: 保証人等とは(法的整理)|内閣府
連帯保証人を検討する際は、依頼する側される側の両者が慎重に判断することが重要です。

入院保証人の代行が担う役割
入院保証人は、さまざまな役割を求められるため、代行を依頼する際はこれらを適切に果たせることが重要な要素となります。
具体的に代行が担う役割は、以下の6つです。
- 緊急連絡先の就任
- 入退院手続き
- 入院中に必要な物品の準備
- 支払いの保証
- 退院支援
それぞれの詳しい内容について、見ていきましょう。
緊急連絡先の就任
緊急連絡先の就任は、入院保証人の代行が担う最も重要な役割です。
入院時は、さまざまな状況の変化が予想されます。
たとえば、利用者の容態が変化した際や病室の移動などの場合に、迅速な連絡と対応が必要 です。
しかし、連絡先が不明だと、これらの対応がスムーズに進みません。
日中だけでなく夜間に連絡がいくことも想定し、24時間対応が可能な入院保証人の代行を確保しましょう。
入退院手続き
入退院手続きは、入院保証人の代行が行う基本的な役割です。
緊急で入院が必要となった際、利用者だけで手続きや準備を進めていくのは大変です。
痛みなどで意識がもうろうとしていれば、書類に字を書くことも難しくなりますが、病院では多くの署名が求められます。
一部病院における入院時の書類内容例は、以下のとおりです。
- 入院申込書
- 入院時問診票
- 緊急時連絡先
- 入院セット(※)の利用申込書
- 生活機能に関するチェックリスト など
※病衣やタオルのレンタルを行っている場合にセットが組まれている

入院保証人の代行によって、入退院に関する多様な事項の契約締結が可能となります。
その結果、ご自身だけでは困難な対応もスムーズに進められるようになるでしょう。
入院中に必要な物品の準備
入院保証人を代行する際は、利用者に代わり必要な物品の準備を行う役割が求められます。
入院時は、基本的に以下のような物品が必要です。
- 常備薬
- 寝具・下着類
- 洗面用具・歯磨きセット
- ティッシュペーパー
- 補聴器・義歯 など
入院中の治療進行に伴い、使用する物品の増える可能性はありますが、支援者がいなければ準備は困難です。
実際、病院側からも以下のような苦慮する声が聞かれています。
・親族、知人もいない場合、リースで不足するものは職員が本人の代わりに購入するしかない。また、リース代が払えない人の場合、病院で集めた古着の衣類を着てもらう等対応しているが、どうしても間に合わない時は病院の物品を渡すしか方法がない。
・購入や貸出しの申込手続をできる人がいない場合や費用負担ができない場合、やむを得ず病棟にある物品を無償で提供している。
引用: 第3章病院、施設から寄せられた意見要望集|総務省 6p
このような状況に適宜対応できる、入院保証人の代行が求められます。
ただし、万が一に備えて、日頃から診察券やマイナンバーカード・常備薬などをご自身で準備しておくことが大切です。
普段からわかる場所にセットしておけば、緊急時もスムーズに対応できるでしょう。
支払いの保証
支払いの保証は、入院保証人の代行にとって重要な役割の1つです。
入院にかかる費用は治療によって異なり、治療代だけでなく食費や部屋の差額代など、入院時は多くの費用が発生し、支払いが困難となるケースも少なくありません。
こうした料金の未払いを防ぐため、一部の病院では3~20万円と幅広い金額で預り金を設定しています。
この背景には、病院経営の難しさが影響しており、2023年の病院経営動向調査で、一般病院の39.8%が赤字経営に陥っていることが判明しました。

参考: 病院経営動向調査の概要|独立行政法人福祉医療機構 29p
病院では、経営に影響する未収金を防ぐため、預り金の設定や連帯保証人の確保といったさまざまな対策を取り入れています。
支払いの保証は、病院側にとっても入院保証人の代行に求める重要な役割となっています。
退院支援
退院支援も、入院保証人の代行が担う役割です。
入院は心身に大きな影響を与えるため、退院後に以前と同じ生活を送れるとは限りません。退院支援はこのような状況に対応できるよう実施され、利用者の生活を支えるための情報や準備が必要となります。
たとえば、支援について検討する場合、必要な情報は以下のとおりです。
- ケアマネジャーの有無
- 相談支援専門員の有無
- 任意後見契約の有無
- 身元保証等高齢者サポートサービス契約の有無 など
参考: 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン|厚生労働省 16p
入院保証人の代行は、これらの情報を確認・調整する役割を果たします。
利用者自身では把握しきれない情報も、入院保証人の代行が適切に管理し、必要な支援につなげることが可能です。
このように、入退院という大きな状況変化に適切な対応ができるよう、入院保証人の代行は重要な役割を担っています。
入院保証人がいない場合に活用される代行サービス
一人暮らしや身寄りのない方で入院保証人がいない場合、状況に応じて代行サービスが活用されます。
入院保証人の代行サービスとは、入院する際に必要な支払いや手続きを、利用者に代わって保証する支援のことです。このサービスは、以下のような背景から生まれました。
- 入院保証人の必要性
- 入院保証人を選任する難しさ
病院に入院する際は、費用の支払い保証や万が一の対応など、多様な状況が想定されるため、支払いや判断に関する能力が求められます。
しかし、一人暮らしでご家族が遠方にいたり身寄りがなかったりする場合、入院保証人の確保は難しいのが現状です。
身寄りがない方の場合、友人や知人が入院保証人になるケースもありますが、病院によっては細かい規定を定めている場合もあるため、誰もが入院保証人の代行をできるとは限りません。
入院保証人の代行サービスは、このようなニーズに答え、身元保証や入退院手続きなどを実施します。
なお、入院する際に保証人がいない場合の相談先について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしましょう。
身元引受人がいないと入院できない?身寄りがない場合の入院対策や相談先を解説
身寄りがないと身元引受人が用意できないため、いざ入院が必要になったときが不安という方も多いのではないでしょうか。 本記事では入院時に身元引受人がいない場合の病院の対応や、身寄りがない方ができる入院対策について詳しく解説します。
連帯保証人代行制度とは
病院では、治療や入院にかかる費用の確保を目的として、連帯保証人代行制度を導入しているケースがあります。
入院時に求められることを想定し、連帯保証人代行制度について、以下2点を知っておくと役立ちます。
- 概要や特徴
- 導入事例
それぞれ詳しく見ていきましょう。
概要や特徴
連帯保証人代行制度とは、入院料の支払いが滞った際に民間の保証会社が立て替えを行い、利用者と病院双方の負担を軽減する仕組み です。

この制度により、利用する側は入院時に連帯保証人を立てる手間が省け、病院側は未収金の抑止につながるというメリットがあります。
制度を導入している病院では、民間保証会社を連帯保証人とする委託契約を結んでいます。
保証会社が補償する内容は、入院時の診療にかかる費用や食費・病衣のレンタル代などであり、支払いが滞ったときは保証会社が一時的に立て替えし、利用者は後日保証会社に支払うことになります。
ただし、保証の仕組みは事業所ごとに異なるため、病院への確認が必要です。
導入事例
連帯保証人代行制度を導入している病院は、全国で確認されています。
以下に具体的な導入事例をご紹介します。
▼東京都の病院事例
- 民間の保証会社と契約し、入院時にサービス提供会社へ保証料を支払うという仕組みを構築
- 連帯保証人を立てる際に困っている方が利用可能
▼神奈川県の病院事例
- 病院が委託契約している保証会社を連帯保証人とし、支払いが滞った際に事業所が立て替えを実施
- 手数料の負担なく利用可能
▼山形県の病院事例
- 山形県が契約する保証会社と委託契約を結び、入院診療契約の連帯保証人に就任
- 山形県立病院で利用可能
このように、さまざまな病院で連帯保証人代行制度が導入されており、利用者の負担軽減が図られています。
ただし、この制度はあくまで費用面のサポートを目的としており、入院時に必要な物品準備や退院支援などのサービスが提供されるかは不明 です。
そのため、制度を利用する際には、求める支援内容をしっかりと検討することが重要です。
入院保証人の代行を利用する際の注意点
入院保証人の代行をサービス会社に依頼する場合、以下の点に注意が必要です。
- 事業所の情報収集を入念に行い、信頼できる会社を選ぶ
- サービス内容や費用、解約方法などの説明を受ける
- 契約書を第三者にも確認してもらう
代行サービス会社は、サービスの範囲や費用の体系などが事業所ごとに異なるため、入念な情報収集と確認が大切です。
サービス内容が追加されて莫大な費用が請求されたり、事業所が倒産して支援が得られなくなったりするケースもあるためです。
入院保証人の代行が適切に機能していれば、利用する側や病院にとって、下表のようなメリットが得られます。
利用者側 | 病院側 |
---|---|
・入院保証人を探す手間が省ける ・ご家族が遠方にいる場合、 負担をかけずにすむ ・支払い方法を選択できる場合がある ・緊急時に頼れる先があるという 安心感が得られる | ・緊急連絡先が明確になる ・未収金のリスクが回避できる ・早期に現金化できる ・未収金回収にかかる作業負担を 軽減できる |
このようなメリットが得られるよう、どこまでの支援が受けられるかを明確にし、ご自身の状況にあった事業所を選択することが大切です。
なお、弊社では入院時の身元保証だけでなく、日常生活における見守りなどのサービス「おひさぽ」を提供しております。
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入院保証人の代行を依頼する際のトラブル事例
入院保証人の代行を検討する際、依頼する会社によってサービス内容は異なります。
適切なサービスを選択しなければ、過剰な費用の請求などのトラブルにつながりかねません。
実際、病院の入院保証人代行に関して、以下のようなトラブル事例がありました。
- 解約を求めた際に、高額な手数料や違約金が請求された
- 依頼した保証会社が倒産した
入院保証人の代行を依頼する際は、費用がかかる点を念頭におき、サービスや契約内容を熟考することが大切 です。
契約内容の確認を怠ると、想定外の費用を請求される事態や求めていないサービスまで追加されるリスクがあります。
このようなトラブル事例を頭に入れておけば、依頼する際の判断材料となるでしょう。
入院保証人代行の選択は慎重に!役割を理解し安心できるサポートを
一人暮らしや身寄りのない方が入院保証人を検討する際の選択肢は、個人や代行サービス会社などさまざまです。
しかし、依頼した先が入院保証人としての役割を果たせなければ、治療や心身状態に大きく影響するでしょう。
そのためにも、入院保証人の役割を認識し、適切な依頼先を検討することが大切です。
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