「入院・介護施設入所の際に身元保証人を求められた」
「身寄りがなく身元保証サービスを利用したいが、何を基準に選べば良いか分からない」
このようなお悩みお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、身元保証サービスに関する制度や法律は現状定められておらず、信頼できる安心・安全なサービスを見極めることが難しい状況です。
そこで本記事では、身元保証サービスの具体的な内容や、総務省の調査をもとにした身元保証サービスの実態の調査、信頼できるサービスを選ぶポイントなどについて詳しく解説していきます。
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目次
身元保証サービスとは?
身元保証サービスとは、企業などの事業者が、介護施設への入所や入院の際などに求められる「身元保証人」として就任し、身元保証人を見つけることが難しい高齢者の方を支援するサービスです。
身元保証人は、介護施設の入居費用や入院費用の保証、緊急連絡先への就任、お亡くなりになった際の遺体の引き取りなどを引き受ける役割を担います。
通常、身元保証人には家族や親族が就任しますが、身寄りのないおひとりさま高齢者は、身元保証人を頼める人が周りにいないケースが多く、身元保証サービスを提供する事業者による支援が必要です。
65歳以上の単独世帯(高齢者の一人暮らし)は年々増加しており、家族や親族がいない高齢者も増加しているものと考えられるため、身元保証サービスの需要は今後も増加していくことが見込まれます。
参考:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査(p.3)
令和2年国勢調査 によると、65歳以上の高齢者が含まれる世帯のうち、高齢者一人暮らしの世帯は3割近くとなっています。
また、65歳以上の約5人に1人が一人暮らしであり、身寄りがなく身元保証人がいないことに悩む高齢者は今後も増加することが見込まれます。
身元保証サービスが必要なケース
上述の通り、通常、身元保証人には家族や親族が就任しますが、身寄りのない高齢者が身元保証人を求められた場合は第三者の支援、つまり身元保証サービスの利用が必要となります。
身元保証人が求められるシーンには、以下のようなものがあります。
・入院時・介護施設入居時
入院・入所費用の保証、入院・入所中の必要な物品の準備、緊急連絡先への就任、入院・入所、退院・退所手続の支援・代理など
・入院計画・ケアプランの意思決定時
本人の判断能力が不十分な際の意思決定の支援など
・亡くなった時(遺体・遺品の引き取り等)
上記のように、主に高齢者が医療や介護サービスを受ける際に、身元保証人が必要となります。
総務省関東管区行政評価局が病院・施設に対して行った調査では、病院・施設の9割以上が入院・入所の際に身元保証人等を求めているという結果でした。
参考:
高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機) -入院、入所の支援事例を中心として- 結果報告書(p.1-4)|関東管区行政評価局
つまり、身元保証人を頼める親族や家族がいない高齢者は、主に入院や介護施設入所の際に身元保証サービスによる支援が必要となります。
ただし「身元保証サービス」の正確な定義、サービスに関する直接的な制度や法律は、現状定められていません。
よって、身元保証サービスの内容・プラン・費用は、事業者によって様々です。
また、実際は、身元保証サービスだけでなく、高齢者をサポートする複数のサービスと合わせて提供されることが多く、利用の際はその内容を確認し明確にしておく必要があります。
では、具体的な身元保証サービスの内容、その他同時に提供される高齢者をサポートするサービスについて、詳しく解説します。
身元保証サービスの具体的な内容
上述の通り、身元保証サービスは高齢者が適切な医療や介護を受けるため、事業者が身元保証人として就任するサービスです。
身元保証サービスは、一人暮らしで身寄りのない高齢者等を対象にした「日常生活支援サービス(日常の買い物・通院の同行、財産管理など)」や「死後事務サービス」など複数のサービスと併せて提供されることも多くあります。
総務省の調査では「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」の複数のサービスを提供している事業者が約83%と最多でした。
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査(p.101)|総務省
事業者によって提供するサービスの内容・種類、プランは異なりますが、総務省の調査によると、身元保証サービスを提供している事業者では以下の3つのサービスを一体として提供していることが多いようです。
身元保証サービス
① 医療施設への入院の際の連帯保証
② 介護施設等への入所の際の連帯保証
③ 入院・入所、退院・退所時の手続の代理
④ 死亡又は退去時の身柄の引取り
⑤ 医療同意への支援
⑥ 緊急連絡先の指定の受託及び緊急時の対応
日常生活支援サービス
<生活支援関係>
① 通院の送迎・付添い
② 買物への同行や購入物の配達、生活に必要な物品の購入
③ 日用品や家具の処分
④ 病院への入院や介護施設等への入所の際の移動(引っ越し)及び家具類の移動・処分
⑤ 介護保険等のサービス受給手続の代行
<財産管理関係>
① 家賃や年金等の定期的な収入の受領に関する手続代行
② 公共料金等の定期的な支出を要する費用の支払に関する手続代行
③ 生活費の管理、送金
④ 不動産、動産等の財産の保存、管理、売却等に関する手続代行
⑤ 預貯金の取引に関する事項
⑥ 金融商品の解約・換価・売却等の取引に関する手続代行
⑦ 印鑑、印鑑登録カード等の証書・重要書類の保管
⑧ 税金の申告・納税・還付請求・還付金の受領に関する手続代行
死後事務サービス
① 死亡の確認、関係者への連絡
② 死亡診断書(死体検案書)の請求受領、火葬許可の市区町村への申請、火葬許可証及び埋葬許可証の受領、死亡届申請代行
③ 葬儀に関する事務 ④ 火葬手続(火葬の申込み、火葬許可証の提示)に関する手続代行
⑤ 収蔵(納骨堂)、埋蔵(墓処)、永代供養に関する手続代行
⑥ 費用精算、病室等の整理、家財道具や遺品等の整理
⑦ 行政機関での手続関係(後期高齢者医療制度資格喪失届、国民健康保険資格喪失届等)に関する代行
⑧ ライフラインの停止(公共料金(電気・ガス・水道)の解約、インターネット・Wi-Fi等の解約、固定電話、携帯電話等の解約等)に関する手続代行
⑨ 残置物等の処理に関する手続代行(遺品目録の作成、相続人等への遺品・遺産の引渡し)
⑩ 墓地の管理や墓地の撤去に関する手続代行
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査(p.2,3)|総務省
身元保証サービスの利用を検討する際は、上記のように複数種類のサービスを提供している事業者が大半であることを理解し、本人にとって必要なサービスは何かについて考える必要があります。
身元保証サービスの費用
身元保証サービスのプランや費用は、事業者によって様々ですが、総務省の調査ではサービスの利用開始時に必要な額は少なくとも100万円以上という結果がでています。
以下は同調査において挙げられた、身元保証等高齢者サポート事業(身元保証・日常生活支援・死後事務サービス含む)を利用する際に要する費用の例です。
少なくとも100万円、死後事務費用のための預託金を含めると300万円を超える業者もあるようです。
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査(p.7)|総務省
事業者の中には、それぞれのサービスに対する費用をHP等で公開していないところもあるため、必ず直接問い合わせて確認するようにしましょう。
身元保証人がいない時・困った時の相談先
身元保証人が必要だが、頼める人がいない場合、まずは以下の専門家や自治体に相談しましょう。
- 司法書士・弁護士事務所
- 地域包括センター(自治体)
- 消費生活センター
司法書士・弁護士事務所
司法書士・弁護士は、法律の専門家であり、老後や相続の相談、身元保証等のサービスの提供、医療機関・介護サービス・専門家への連携なども行っています。
おひとりさま高齢者の不安や悩みは身元保証だけでなく、財産管理、成年後見制度の利用、死後事務、相続など多岐にわたります。
これらの悩みに関する本人の希望を実現するには、法律や税金に関する正しい知識が必要です。
例えば、所有不動産の売却を考えている場合、買主と売買契約を結ぶには本人の「意思能力」が必要となるため、認知症などが進行すると売却自体ができなくなる可能性があります。
また、遺体の引き取りや遺品の整理、葬儀、埋葬などの死後事務に関して第三者へ委任する場合は「死後事務委任契約」が必要です。
このような点でも、正確な法的知識をもとに適切な契約書を作成しておかなければ、本人の死後事務に関する希望が叶えられなくなってしまいます。
身元保証などの高齢者サポートサービスを提供している企業や団体には、介護サービス業や葬儀会社、医療機関、不動産業者など多岐にわたりますが、それぞれ専門分野が限られており、おひとりさま高齢者が持つ悩みをトータルでサポートできるかどうかについては不安が残るでしょう。
一方で司法書士・弁護士であれば、財産管理や成年後見制度、死後事務、相続などに関して、信頼性のある公正証書で契約を結び、不動産の売却や相続の悩みなどにも豊富な知識を用いてトータルで相談をお受けすることが可能です。
当社においても、おひとりさま高齢者を家族の代わりにサポートする「おひさぽ」というサービスを提供しています。
知識と経験が豊富な専門家が、本人の悩みや希望に応じ、見守り、身元保証、財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約、公正証書遺言の作成、尊厳死宣言書の7つのサービスを提供します。
電話相談は無料で承っておりますので、お悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
おひとりさまの身元保証・サポートを
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「おひさぽ」では、家族の代わりにずっと寄り添うをテーマに、おひとりの高齢者への支援を真心を込めて丁寧にご対応します。
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地域包括センター
地域包括支援センターは、自治体が設置主体となり、介護や成年後見制度の利用、医療機関への連携など、高齢者を含む住民の健康の保持や生活の安定のための、包括的な支援をする施設です。
身寄りもなく、一人暮らしの高齢者の方で、介護サービス・医療サービスの利用や、財産管理・日常生活における悩みがある方は、まずは地域包括センターへ相談すれば、介護施設や医療機関、行政機関などへの連携や、ケアプランの作成などの対応をしてくれます。
全国のすべての市町村に5,000箇所を超えて設置されており、いきなり司法書士などに相談するのはハードルが高い・緊張するという方にもおすすめです。
消費生活センター
すでに身元保証サービスに関して事業者と何らかの相談や契約を進めていて、契約内容や進め方について不安や不明点がある場合は、消費生活センターへ相談しましょう。
実際に、全国の消費生活センター等には「契約内容を理解できていないにもかかわらず。高額な契約をしてしまった」「解約時の返金額に納得できない」など、身元保証等の高齢者サポートサービスにおける契約トラブルに関する相談が寄せられているようです。
参考:
参考:身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意|独立行政法人国民生活センター
契約を締結してしまうと、両者が契約内容に合意したことになり、取り返しがつかないケースもあります。
不安や疑問がない場合でも、早い段階から専門性が高く法律の知識を持つ司法書士などに相談しておくことをおすすめします。
身元保証サービスを選ぶときの7つのポイント
身元保証サービスを選ぶ際に注意していただきたいポイントは以下の7つです。
身元保証サービスを選ぶときの7つのポイント
- 契約内容・サービス内容の丁寧な説明があるか
- サービス内容ごとの費用は明確か
- 死後事務に関する預託金の管理は適切か
- 解約時の返金についての規定はあるか
- 本人の判断能力低下に備えた成年後見制度への移行に関する規定はあるか
- 契約の履行に関して第三者による担保・監視はあるか
- サービス料金や預託金の寄付・遺贈の取り扱い
それぞれについて詳しく解説していきます。
契約内容・サービス内容の丁寧な説明があるか
身元保証サービスを選ぶ際は、契約内容やサービス内容について
• 複数回にわたり説明する
• 第三者の立会いのもと説明する
• 重要事項説明書を作成する
などの丁寧な説明・対応をしてくれる事業者を選びましょう。
身元保証サービスは、上述の通り、多くの事業者日常生活支援や死後事務などの複数のサービスと併せて提供されるケースがあり、契約内容が複雑になりがちなためです。
しかし、身元保証・日常生活支援・死後事務等の高齢者サポートサービスについては、直接規律・監督する法令・制度等はありません。
よって、利用者と事業者との契約関係については、民法で定められた契約の一般原則や、消費者契約法に定められた消費者契約法に幅広く適用される民事のルールに従う必要があります。
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.22)
事業の特徴と消費者契約法第3条(後述)の趣旨を踏まえれば、利用を検討しようとしている高齢者のニーズや意向を踏まえ、サービス内容を理解するために必要な情報を提供するなど、事業者が丁寧に説明を行うこと等が重要であると考えられる。
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.26)
(事業者及び消費者の努力)
第三条 事業者は、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。
一 消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること。
二 消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものの性質に応じ、事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮した上で、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供すること。
引用:消費者契約法3条の1の1,2
そこで、サービス内容に関する丁寧な説明に関する対策に挙げられているのが「複数回にわたる説明」「契約者以外の第三者の立ち会い」「重要事項説明書の作成」「書面による契約」です。
身元保証サービスを選ぶ際は、できる限り上記を満たす丁寧な説明がある業者を選ぶことをおすすめします。
サービス内容ごとの費用は明確・適切か
おひとりさまの高齢者をサポートするサービスには、身元保証の他にも、日常生活支援(財産管理・介護・医療に関する手続きなど)・死後事務などが併せて提供されることがあります。
それぞれのサービスに対する費用以外に、入会金・契約金・死後事務のための預託金などの費用を求める事業者もあるため、全ての費目について明確にすることが重要です。
とはいっても、サービスの内容は一様ではなく事業者ごとに異なり、金額感や費目も異なり、複数の事業者の比較検討が困難であるという現状があります。
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.84)
総務省の調査によると、ホームページで「サービスごとの費用」や「費用の支払い方法」を開示している事業者は半数に満たないという結果もでています。
引用: 身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.23)
不安や不明な点があれば、ご自身だけで判断するのではなく、司法書士などの専門家や、消費生活センター等に相談しましょう。
死後事務に関する預託金の管理は適切か
身元保証と併せて提供されることが多い死後事務サービス(葬儀、納骨、墓の管理等)の履行に際して、契約時に利用者から預託金を徴収する事業者が多くあります。
この場合、預託金の管理が適切に行われているのかについて契約前に確認しておくことが重要です。
なぜなら、預託金の管理について直接規制する法律や制度はなく、万が一死後事務の履行前に事業者が破綻した場合は、預託金が返還されないという事態に陥るおそれがあるためです。
預託金の管理については、以下の3つの対策が重要だとされています。
• 事業者の運営資金とは区分して管理すること
• 自社の専用口座で管理する場合には、個々の利用者ごとに出入金の記録を保存・管理すること
• どのような管理方法とするかにかかわらず、利用者に定期的に管理状況を報告すること及びその旨を利用者と取り交わす契約書にも記載すること
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.87)預託金を信託口座等で区別して管理し、その出入金の記録や報告が適切に行われるかについて、事業者へ事前に確認しましょう。
解約時の返金についての規定はあるか
身元保証サービス等の高齢者サポートサービスにおいて、利用者が事業者との契約を解約した場合に、あらかじめ支払ったサービス費用の未履行部分や、死後事務のための預託金は、消費者保護の観点から返金されるべきであると考えられています。
総務省の調査では、死後事務のための預託金がある全ての事業者において、手数料を除いた全額を返金する旨を定めているという結果でした。
ただし、解約時における入会金や契約金の取扱については「全く返金しない」「一部返金可能」など事業者によって対応が異なるとされています。
また、返金に関する規定がない事業者もみられたため、契約前に明確にしておくようにしましょう。
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.63,64)
本人の判断能力低下に備えた成年後見制度への移行に関する規定はあるか
利用者と事業者の間で身元保証等の高齢者サポートサービスに関する契約を結ぶ場合は、利用者の意思能力が必要です(民法3条の2)。
しかし、令和7年には認知症の有病率が約700万人(高齢者の約5人に1人)になるとの推計もあり、契約時点では問題なくとも、契約期間内に利用者の判断能力が低下する可能性も高いといえます。
参考:
平成29年度高齢社会白書|内閣府
民法上、本人の判断能力が低下すると委任契約が終了するという規定はありませんが、サービス利用者の判断能力が不十分になると、事業者の業務状況を監督・チェックすることが困難になる可能性があります。
そこで、利用者が認知症などにより判断能力が不十分になった場合は、
• 成年後見制度に移行し、家庭裁判所が選任した法定後見人が支援を行う
• 任意後見制度に移行し、家庭裁判所が選任した任意後見監督人の監督のもと、任意後見人が支援を行う
のいずれかの方法で、おひとりさま高齢者をサポートすることが望ましいと考えられています。
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.87,88)
特に、本人の判断能力が十分あるうちに任意後見契約を締結しておくと、任意後見人・後見内容をあらかじめ決められるため、財産管理や身上監護に関する希望を実現しやすくなるためおすすめです。
身元保証サービスの利用開始時は問題なくとも、本人の判断能力が低下した場合の対応に関する規約については、事業者に事前に確認しておきましょう。
契約の履行に関して第三者による担保・監視はあるか
身元保証等の高齢者サポートサービスにおいて、利用者の意思能力があれば当事者間の合意で契約は成立しますが、契約内容の履行状況については、第三者による確認・担保等の体制を整えることが望ましいとされています。
特に、死後事務については、本人が亡くなった後、事業者による契約履行をチェックする人がいない状況となります。
中には、提携する弁護士や第三者団体からのチェックを受ける体制を整えているという事業者もあるようです。
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.89)
できる限り、士業法人などの法的なチェックが整備されている事業者に依頼していることが望ましいと考えられます。
サービス料金や預託金の寄附・遺贈の取り扱い
サービスの利用料金や預託金について、契約履行後に残額が発生した場合の寄附・遺贈の取り扱いについても確認しておく必要があります。
基本的に、サービス利用者本人の自由な意思に基づく寄附や遺贈を、事業者が受け入れることは問題ありません。
しかし、総務省の調査によると、事業者や自治体から寄附や遺贈に関するトラブル事例が複数報告されています。
遺産の一部を寄附するとの利用者本人の意思表示があったものの、本人の遺族と事業者トラブルになった例
利用者から遺産の一部を寄附するとの話があり、高額な寄附を受ける贈与契約を締結したところ、同利用者が亡くなった後にその親族が現れ、「寄附をするつもりはない」として、トラブルになった。
当該親族との話合いの結果、大部分を返却し終結したが、当該トラブルを踏まえ、今後は寄附の申出があった際は、贈与契約書ではなく、公正証書遺言か生前に寄附してもらうこととした。
(A事業者)
利用者本人の自由な意思に基づかない寄附・遺贈が定められていた例
特定の親族に遺産を相続させたいという意思があった高齢者(従前、事業者と契約を締結)について、当該高齢者が入所する施設から、「事業者の手配により作成された当該高齢者の遺言書を公証役場にて確認したところ、遺産は全て事業者に遺贈する記載になっていた」との相談があった。
当市区町村は、上記施設からの相談を受けて弁護士に相談し、弁護士が事業者に対して、遺言書が高齢者の意思に反する内容になっているため修正するよう伝えたが、修正後も事業者に全財産を遺贈する記載になっていた。
その後、高齢者の判断能力が不十分になってきたため、弁護士は、成年後見人(補助人)を付け、事業者との契約を解除するとともに、当該高齢者の意思に沿った内容の遺言に修正した。
(A市区町村)
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.46,47)相続時においても、トラブルなく円滑なサービスの終了が行えるよう、サービス料金や預託金の残額の寄附や遺贈についての取り決めを確認しておく必要があるでしょう。
身元保証サービスの利用によるトラブル事例
身元保証等の高齢者サポートサービスを選ぶ際のポイントを解説してきました。
以下では、サービスの利用による実際のトラブル事例について、総務省の調査をもとに紹介していきます。
親族等への説明に当たってトラブルになったとする例
利用者とこれまで疎遠であった親族が、利用者と連絡を取り合った際に、利用者が身元保証に関する契約をしたことを知り、「自分を差し置いて契約するのか」と事務所に現れて、契約の解除を申し入れ、そのまま解除に至ったことがある。
利用者の大半は親族と疎遠になっており、事業者側から契約した旨の連絡を行うこと自体がトラブルを誘発するおそれがあり、対応に苦慮している。
(A事業者)
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.37,38)身元保証サービスを行うとしているが、契約書では身元保証サービスについて定めた規定がなく、身元保証に関する契約を締結しているのか明確になっていない例
(事例1)A事業者の契約書は、「財産管理と任意後見に対応する契約書」と「死後事務に対応する契約書」の2種類のみである。
同事業者は、身元保証(身元引受・連帯保証)を引き受ける条件は、原則、財産管理委任契約・任意後見契約・死後事務委任契約の3契約を締結している利用者であるとしているが、上記2種類の契約書には身元保証に関する規定が置かれておらず、身元保証に関する契約を締結しているのか明確になっていない。
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.39)身元保証等高齢者サポート事業に関連して起きたとされるトラブルの例
高齢者が自分で調べたX事業者と身元保証や死後事務について契約を締結した後に、契約に要する費用とは関係なく、別途千数百万円もの資金を事業者に提供したが、その後、事業者の代表者と音信不通となり、契約も不履行となった。
本件に関しては、当該高齢者が入居する高齢者住宅の事業主が地域包括支援センターに情報共有した上で司法書士に相談し、家庭裁判所で当該高齢者がX事業者と締結した契約を全て解約した。
その後、当該高齢者はX事業者の代表者に対して損害賠償請求訴訟を起こした。
(A地域包括支援センター)
引用:
身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査|総務省(p.130)身元保証だけじゃない!おひとりさまの高齢者が対策しておくべきこと
身寄りのない高齢者にとって、介護施設への入所や入院の際に必要となる身元保証サービスが救いの手となることは事実です。
しかし身元保証だけではなく、おひとりさまの高齢者が抱える悩みは、金銭管理や日常生活の安全確保、亡くなった後の葬儀やお墓のことなど多岐にわたります。
子どもや兄弟姉妹などの親族がいれば当たり前のように行なってくれることも、おひとりさま高齢者は信頼できる事業者に相談し、希望が叶えられるように対策する必要があります。
身元保証の他に、おひとりさま高齢者がしておくべき主な対策は、以下の5つです。
- 財産管理委任契約
- 任意後見契約
- 死後事務委任契約
- 公正証書遺言
- 尊厳死宣言書
また、上述の通り、身元保証と併せて財産管理や死後事務等をトータルで請け負うサービスを提供している事業者が多く、それぞれの内容についての正確な理解が必要です。
詳しくみていきましょう。
財産管理委任契約
財産管理委任契約は、本人の財産管理や身上監護などに関する代理権を委任者へ与える契約です。
任意後見契約では、委任者の判断能力が低下したときに効力が発生するのに対し、財産管理委任契約の効力は、本人の判断能力が十分な場合でも発生します。
よって、本人の足腰が弱って自由に出歩けなかったり、怪我や心身の不調により外出がおっくうになってしまった場合でも、受任者に契約内で定めた財産管理・身上監護の事務を代行してもらえます。
ただし、財産管理委任契約は家庭裁判所の関与や任意後見監督人による監督がないため、受任者の権限や義務に関しては、契約前にしっかりとチェックし、不安な場合は第三者による監督をつけることがおすすめです。
任意後見契約
任意後見契約とは、本人の判断能力が十分なうちに、本人の財産管理や身上監護についての代理権を受任者に与えておき、本人が認知症などで判断能力が低下した際に効力が発生し、受任者が任意後見人となって後見事務を行うという契約です。
任意後見契約は、委任者の判断能力が不十分になってから効力が発生する点、家庭裁判所が関与し、任意後見監督人が選任される点が財産管理委任契約とは異なります。
おひとりさま高齢者のサポートにおいては、前段で解説したように、本人が元気なうちに財産管理委任契約・任意後見契約の両方を締結しておき、本人の判断能力が十分なうちは前者、認知症などで判断能力が低下した際に後者の効力を発生させる(移行する)形を整えておくこともあります。
死後事務委任契約
死後事務委任契約は、委任者が受任者に対して、委任者本人が亡くなった後の事務(葬儀、納骨、埋葬、退院・退所手続き、公的手続き等)を行う代理権を与えておく契約です。
通常であれば、死後事務は親族が行いますが、おひとりさま高齢者の方は亡くなった後の葬儀・お墓などの希望を持っていても、誰かに委任しなければ実現することは困難だといえます。
遺体や遺骨の引き取り先がない場合は、行政や行政が委託する霊園などに埋葬されることになりますが、遺族を探す手続きなどで埋葬まで時間がかかるケースも多いです。
よって、おひとりさまの高齢者は、死後事務に関する希望等を実現できるよう、委任契約を結んでおくことをおすすめします。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場において、公証人と証人2名の立ち会いにより作成される、法的な証明力と信頼性が高い遺言です。
遺言は、民法で定められた法律行為であるため、適切な方法を取らなければ遺言内容が認められずに実現できない可能性があります。
公正証書遺言であれば、公的に認められた正しい手順で、公証人が内容を確認したうえで作成するため、遺言を実行できる可能性が高まり、本人の安心にもつながるでしょう。
公正証書遺言を作成するには、必要書類の準備や公証役場との日程調整等が必要となるため、詳しくは司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
尊厳死宣言書
尊厳死宣言書は、本人が病気に罹り、不治かつ末期の状態となった場合、死期を伸ばすためだけの延命処置(人工呼吸器や透析、胃ろうなどによって生命を維持するための措置等)は行わないよう、意思表示をしておく書面です。
医師は目の前の患者を少しでも延命させることが使命ですが、医療計画は原則本人の意思を基本に(本人に意思能力がある場合)決定されます。
本人が認知症や知的障がいなどで意思能力を確認できない場合は、家族の意思確認が行われますが、おひとりさま高齢者では、本人に代わる家族の意思確認ができない状況となります。
よって、本人の意思に沿わずに延命措置が行われるという事態にも陥りかねません。
そこで、本人が不治で末期の状態となり、意思能力も不十分となった場合に備え、元気なうちに単に死期を延ばすだけの延命措置を望まないとする尊厳死宣言書を作成しておくことで、本人の意思を実現できる可能性が高まります。
身寄りのない高齢者の方は、できる限り尊厳死宣言書を作成しておくことをおすすめします。
おひとりさま高齢者をご家族に代わって支援する「おひさぽ」
身元保証以外にも、身寄りのない高齢者の方が安心して老後や相続の希望を実現するためには、上記で解説した対策をできる限り元気なうちに行っておくことが重要です。
ただし、自分でどの対策が必要なのか、どう進めていけば良いのかを判断することは難しいでしょう。
そこで、当社では、おひとりさまの高齢者向けのサポートをトータルでご提案する「おひさぽ」というサービスを提供しています。
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このようなおひとりさま高齢者の多岐にわたる悩み、希望に合わせて経験豊富な当社の専門家がサポートさせていただきます。
また、ご本人の財産管理状況を、本人や遠方のご家族・ご親族が確認できるシステムも導入するなど、テクノロジーを活用した利便性・透明性の確保にも取り組んでいます。
認知症発症後や亡くなった後においても、ご本人のご希望を忠実に実現できるよう当社が全力でサポートさせていただきます。
お電話でのご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
身元保証サービスの利用は慎重に!まずは専門家に相談を
介護施設の入居や入院の際には、多くの施設や医療機関で身元保証人が求められます。
身元保証人には通常家族が就任しますが、身寄りのないおひとりさま高齢者の方は、頼める人がおらずに困ってしまうケースも多いようです。
そこで、多くの企業や団体などの事業者が、家族の代わりに身元保証人として就任する身元保証サービス、さらにおひとりさま高齢者を対象にした財産管理や死後事務などの代理サービス等を提供しています。
ただし、このような高齢者サポートサービスに関する直接的な法令や制度などが整備されておらず、事業者によって費用やサービス内容は異なるため比較検討も困難で、サービス利用者を混乱させやすくなっていることも事実です。
実際に消費者生活センターなどには、高齢者サポートサービスの契約トラブルに関する相談は多く寄せられており、信頼性のあるサービスの選択が重要だといえます。
当社では、経験豊富な専門家がおひとりさま高齢者の状況や希望に合わせて、家族の代わりに現在から亡くなった後までトータルでサポートする「おひさぽ」を提供しています。
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